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 大型国政選挙で連勝し、「1強」を謳歌(おうか)する自民党だが、今回の参院選では福岡、島根両県の党組織が分裂状態となっている。4月にあった県知事選の自民分裂のしこりを引きずる両県。自民党を脅かす強い野党の不在が、分裂の根底にあるとも指摘される。

 ■露骨に公明候補支援 福岡

 公示後初の日曜日だった7日。福岡県豊前市の市民会館で開かれた公明党公認候補者の下野六太氏の集会に、自民党の武田良太衆院議員(福岡11区)の姿があった。400人以上が詰めかけた会場で壇上に登った武田氏は「力強い支援でどうか下野さんをお願いいたします」と呼びかけた。

 福岡選挙区(改選数3)では、自民は4選をめざす松山政司氏を公認している。武田氏のように自民議員が友党・公明の候補者支援をするのは珍しくないが、武田氏のあからさまな言動は県内で波紋を広げる。

 根にあるのは自民分裂選挙となった4月の福岡知事選だ。武田氏らが支援した現職と、麻生太郎副総理(福岡8区)らが推した党推薦新顔が激突し、現職の勝利に終わった。

 その知事選で松山氏は敗れた新顔の陣営にいた。武田氏は周囲にこう言ってはばからない。「知事選で動かなかった人を参院選で応援して何のメリットがあるんだ」

 武田氏は6月中旬、同じく自民党二階派に所属する衆院議員の宮内秀樹、鳩山二郎両氏とともに、公明の支持母体である創価学会の幹部と福岡県内で会食。武田氏は「我々の選挙区は万全にします」と約束した。

 党県連執行部はこうした露骨な動きに神経をとがらせる。原口剣生県連会長は4日の公示日、松山氏の出陣式で、「1区から11区まで必ず1位を」と県内11の衆院小選挙区で松山氏の得票トップを取るようはっぱをかけた。

 地元にはこうした動きを「組織がおかしくなる」(県連幹部)と心配する声もある。党本部関係者は「有力な野党候補がいないと自民分裂が起こる」と述べ、騒動は自民の強さゆえと説明するが、政争が過熱すれば地方組織を傷つけるリスクもはらむ。

 (菅原普、明楽麻子)

 ■「保守王国」なお混迷 島根

 竹下登・元首相を生んだ「保守王国」島根でも異変が起きている。

 公示日翌日の5日朝、鳥取・島根選挙区(改選数1)に立候補した自民現職・舞立昇治氏の島根県庁前での出陣式。党鳥取県連会長の石破茂・元幹事長も出席した会場に、島根自民の重鎮・五百川純寿(すみひさ)県議の姿はなかった。

 その理由は4月にあった島根知事選だ。44年ぶりに自民組織が分裂となった選挙は、竹下元首相の秘書も務めた青木幹雄・元党参院議員会長や国会議員らが推す自民推薦候補と五百川氏や中堅・若手県議の大半が支援した新顔候補が激突し、新顔候補が番狂わせの勝利を収めた。

 青木氏側の敗北により「王国」は混迷する。県政界で多数派となった五百川氏側に不信任を突きつけられた、青木氏側の県連幹事長は辞意を表明。竹下元首相の弟で県連会長の竹下亘・前自民党総務会長は闘病中のため、修復作業の遅れに拍車をかけた。通常、参院選を前に各都道府県連で設置される選挙対策本部は立ち上がらないままだ。

 青木氏の長男で県連副会長の青木一彦参院議員は出陣式後、「まずは参院選を勝ち抜くのがすべてだ。参院選を戦いながら組織を整備していきたい」と語るのが精いっぱいだった。

 過疎化が進む島根は、1980年代後半から23年連続で1人あたり公共投資額が全国1位だったが、近年は急激に減少した。そうしたことを国会議員たちの権力のかげりの一因に指摘する声もある。

 五百川氏の口から出る言葉は手厳しい。「青木(幹雄)氏らは東京から横やりを入れるだけの存在。地元貢献がない。もう身を引かれた方がいい」

 (市野塊、大久保貴裕)

     ◇

 21日の投開票へ向けて各党が支持を訴える参院選。選挙区が映し出す政治の潮流を報告します。

 ■福岡(改選数3)

春田久美子 52 国民新

川口尚宏  50 諸新

河野祥子  39 共新

浜武振一  53 諸新

下野六太  55 公新〈自〉

本藤昭子  77 諸新

野田国義  61 立現(1)〈社〉

江夏正敏  51 諸新

松山政司  60 自現(3)

 ■島根・鳥取(1)

舞立昇治 43 自現(1)〈公〉

中林佳子 73 無新〈共〉

黒瀬信明 34 諸新

(届け出順、年齢は投票日現在、カッコ内数字は当選回数、〈 〉政党は推薦・支持)

 

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