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 10月に迫った消費税率の引き上げをめぐり、与野党の主張が真っ向から対立している。

 安倍首相は増税を確約して、参院選に臨む。野党はそろって、中止や凍結を訴える。

 10%への増税は、ふくらむ社会保障費の財源とするため、民主党政権時代の7年前に法律で定められた。消費税を政争の具にしないよう、当時野党の自民党と公明党も合意した。高齢社会に、政治が正面から向き合う決断をしたはずだった。

 ところが安倍首相は直近3回の国政選挙で、直前に増税の延期や使い道の変更を決めた。「国民に信を問う」としながら、判断の根拠や財政の将来について、説得力をもって語ることはなかった。

 負担増となる国民に対し、首相は今回の参院選こそ、丁寧に説明を尽くす責任がある。

 一つは、増税がくらしや経済に与える影響だ。

 首相は3年前、世界経済は大きなリスクに直面しているという「新しい判断」を披露し、2度目の増税延期を決めた。

 政府は、足もとの景気は「緩やかに回復している」との見解を示すが、米中の貿易紛争もあり、不透明感はぬぐえない。

 野党は消費や賃金が低迷するなかでの増税に異を唱える。

 与党はキャッシュレス決済でのポイント還元をはじめ「万全な備え」を強調するが、不安の声に答えているとは言い難い。

 増税を先送りした3年前といまの景気認識はどう違うのか、客観的に説明するべきだ。

 もう一つは、増税の目的と財政の将来だ。

 与党は参院選で、増税で得られる収入の約半分を使う「安心への投資」を真っ先に訴える。幼児教育の無償化や所得の低い高齢者への給付金などだ。一方で、残り半分は国の借金を抑える目的で使うことには、ほとんど触れていない。

 次世代へ先送りしている負担を減らす意義を、まずは有権者にきちんと伝える。そして理解を得る努力が必要だ。

 首相は「今後10年間くらいは消費税を上げる必要はない」と言う。その10年間にも高齢化が進み、政府の試算では、国の予算の社会保障関係費は7兆~9兆円増える。消費税率で3%ほどだ。今後の道筋を、どう描こうとしているのか。

 野党は消費増税に代わる財源として、株の配当などへの税金や法人税の増税、議員定数の削減といった歳出改革を掲げる。検討に値する点もある。

 社会保障と財政を持続可能な姿にするのに、選択肢はいくつかあり得る。税制や歳出の全体を見渡し、どう改めるのか。選挙戦で議論を深めるべきだ。

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