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 強力な集票力から「常勝関西」とすら呼ばれた関西の公明党だが、4月の大阪ダブル選は完敗した。参院選では大阪、兵庫の両選挙区で候補者を擁立し、議席獲得をめざすが、ダブル選で勢いを取り戻した日本維新の会の存在がその戦いに影を落としている。

 ■保守票奪還、勝敗左右 兵庫

 公明党の山口那津男代表が4日の公示日第一声の場所に選んだのは、「最重点区」に位置づけた兵庫選挙区(改選数3)だった。

 神戸市の繁華街に姿を現した山口氏は、淡い紺色のスーツにノーネクタイ。「わが党にとって最も厳しい選挙区」と訴えた。

 公明は前回2016年に、改選数が2から3へ増えた兵庫で24年ぶりに候補者を擁立。自民の手厚い支援を受けて54万票を獲得し、2位当選した。今回も新顔の高橋光男氏を立てて議席確保を狙う。

 公明の支持母体である創価学会関係者は「自民党の保守票をどう取り入れられるかが結果を左右する」とみる。兵庫での公明の比例票は、16年参院選が37万票、17年衆院選が29万票。これに20万票程度の上積みをしなければ当選圏は見えてこない。

 しかも今回は再選をめざす維新の清水貴之氏が、大阪ダブル選の大勝で勢いに乗る。公明幹部は「元々厳しい兵庫で維新を勢いづかせてますます厳しくなった」と悔しがる。

 公明は維新との正面衝突を避けるため、都構想への全面協力に転換。維新の看板政策「身を切る改革」を公約集の1番目に掲げるという異例の抱きつき作戦で、維新に流れた保守票の取り戻しをはかる。

 全国の学会関係者による厚い応援態勢に加えて、自民からの支援も要請した。公示直前の2日には、創価学会に太いパイプを持つ菅義偉官房長官が神戸入りし、高橋氏の激励会に駆けつけた。選挙期間中には、菅氏と安倍晋三首相の応援演説が予定される。

 さらに、菅氏が間を取り持ち、高橋氏の後援会長には、港湾物流大手の上組(神戸市)会長で、港湾業界の重鎮・久保昌三氏が就いた。公示日も山口代表と並び立った。公明関係者は「港湾業界の大物が全面支援するなんて初めて」と期待を寄せる。(川嶋かえ、青瀬健)

 ■「発祥の地」楽観一変 大阪

 公示直前の2日、関西創価学会の緊急幹部会合が大阪市で開かれた。

 「大阪で下位に沈んでいる」。大阪選挙区(改選数4)に擁立した公明現職・杉久武氏の情勢が報告されると、重い空気が漂ったという。

 意識されるのはここでも維新の存在だ。維新は6年前にトップ当選した現職と新顔1人の計2人を擁立した。風に乗る維新が2議席を獲得することになれば、残り2議席を自民、公明、立憲民主、国民民主、共産各党の候補ら10人が争う全国屈指の激戦区となる。

 公明にとって参院の大阪選挙区は1956年に創価学会の池田大作名誉会長が陣頭指揮をとって初めて選挙区で議席を得た「発祥の地」。その後の公明党結党につながり、議席を守り続けてきた。関西創価学会関係者は「順位の心配をしたことはあるが、当落の心配をするなんて初めて」と嘆く。

 長らく大阪の1議席が「指定席」となってきたことへの楽観はあった。大阪ダブル選を巡って「維新との対決回避」という党本部の求めを大阪府本部が拒んだことで生じた感情的なしこりが「出遅れ」につながったという指摘もある。党本部が6月5日に東京ドームに10万人の支援者を集めた集会では、兵庫を皮切りに選挙区の候補者たちが壇上であいさつしたが、大阪選挙区の候補者だけはあいさつの機会がなかった。

 しかし、そんな空気は「大阪苦戦」の情報で一変した。10日には急きょ大阪に入った山口那津男代表は3カ所で演説。14日にも再度大阪入りする予定だ。党幹部は「兵庫だけに注力しすぎて大阪を落とす『まさか』があってはならない」と語る。(坂本純也、今野忍)

 ■兵庫(改選数3)

原博義  47 諸新

高橋光男 42 公新〈自〉

安田真理 41 立新〈社〉

加田裕之 49 自新

清水貴之 45 維現(1)

金田峰生 53 共新

 ■大阪(4)

浜田健   53 諸新

太田房江  68 自現(1)

東徹    52 維現(1)

足立美生代 47 諸新

亀石倫子  45 立新〈社〉

にしゃんた 50 国民新

杉久武   43 公現(1)

梅村みずほ 40 維新

尾崎全紀  48 諸新

数森圭吾  39 諸新

辰巳孝太郎 42 共現(1)

佐々木一郎 68 諸新

 (届け出順、年齢は投票日現在、カッコ内数字は当選回数、〈 〉内政党は推薦・支持)

 

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