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 米国とイランが対立を深め、一触即発の危機にあるいま、米国の同盟国であり、イランとも友好関係を維持している日本が採るべき道は何か。

 それは、この地域の緊張緩和に全力を注ぐことだ。米国主導のイラン包囲網に参加すれば、軍事的な緊張を高めることになり、中東の平和と安定に資するとはとても思えない。

 米軍制服組トップのダンフォード統合参謀本部議長が、中東のホルムズ海峡などを航行する船舶の安全を確保するため、多国籍の有志連合の結成をめざす考えを表明した。

 自衛隊にも参加要請があるとみられるが、ここは熟慮が必要だ。日本が輸入する原油の約8割がこの海峡を通る。日本のエネルギー安全保障にとって極めて重要であればこそ、真に有効な方策は何か、慎重に考え抜かねばならない。

 そもそも、問題の原因は米国にある。トランプ米大統領は、イランが守ってきた核合意から一方的に離脱し、制裁を強め、空母や爆撃機を展開するなど対決姿勢を強めてきた。

 自ら危機的な状況をつくりだしておいて、船舶の護衛が必要だから有志連合に参加しろというのでは、マッチポンプの類いと言うほかない。こうした手法そのものが、同盟国の不信を招くのではないか。

 確かに、ホルムズ海峡付近で先月、日本の海運会社が運航するタンカーを含む2隻が攻撃された。しかし米国が主張するイランの関与に決定的な証拠はなく、日本は米国の見解に同調せず、一線を画している。

 日本が有志連合に加われば、イランとの関係悪化は避けられない。安倍首相は先月、テヘランを訪問し、異例の仲介外交に乗り出したが、その努力も早々に頓挫することになる。

 防衛省は、自衛隊の艦船が警察的な行動をとる「海上警備行動」や、安全保障関連法による後方支援などを検討しているようだが、対米配慮を優先して自衛隊を派遣することは、中東の安定という大きな目的にはつながらない。

 トランプ氏は先月、「なぜ我々が他国のために無報酬で航路を守っているのか。自国の船舶を(自国で)守るべきだ」とツイッターで訴えた。再選をめざす来秋の大統領選に向け、米軍の負担減を国内にアピールする狙いもあるのだろう。

 そんな政治的思惑に乗せられて、中東地域で獲得してきた日本への信頼という外交的な資産を崩してはならない。

 トランプ氏に自制を促し、欧州などと連携しながら国際合意を立て直す。それこそが、日本が果たすべき役割である。

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