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 男女の候補者を「均等」にするよう政党に求める法律ができて、初の国政選挙となる参院選。女性候補の割合は過去最高の3割近くまで増えたが、選挙の結果、国会の男女の偏りに変化は起きるのか。各地で女性たちの訴えを追った。

 ■出産で離職「30年前と変わってない」 「政治経験ゼロ。でも子育てしてきた」

 国会は衆院議員の9割、参院議員の8割が男性だ。今回の参院選で女性候補者の割合は28%(104人)になり、前回の25%より増えた。だが、男女均等にはほど遠い。選挙戦では、こうした男女の偏りそのものを争点化し、広く共感を生もうとする戦略を描く候補者が目立つ。

 「人口は半々なのに、この国の行く末を決める(参院議員の)8割が男性。今の政治が私たちに寄り添えていない原因だ」

 近畿地方の1人区で、無所属新顔の女性は政治を暮らしの延長線上でとらえようと訴える。「毎日、育児、買い物をしてご飯をつくる。消費者として物価を目の当たりにする女性の声が政治に届いていない」

 村役場の職員として働き、娘2人を育てた。離婚や乳がんでの闘病も経験した。労働組合でパワハラやセクハラの被害相談に耳を傾け、社会の要職に就くよう女性たちを励ましてきた。こうした経験が立候補につながった。

 「働く女性の半数が1人目の出産で仕事をやめている状況がまだある。私が経験した30年前から変わっていない」。子育て支援や女性国会議員の増加、選択的夫婦別姓制度の実現などを呼びかけている。

 国政選挙の候補者は政党の看板を背負い、国政課題や時の政権に対するスタンスが問われる。地域代表を選ぶ地方選挙との大きな違いだ。

 昨年5月に候補者男女均等法が全会一致で成立。とりわけ野党が積極的に女性擁立を進める中、働き方や子育てなど身近な政策や自身の経験を入り口にして幅広い層に訴えかけようという動きが広がっている。

 政党が候補者を立ててしのぎを削る複数区。西日本のある選挙区では、政党が男女ペアで擁立するなどした結果、女性が候補者の3割強になった。

 立憲民主党新顔の女性は「男性ばかりの国会に、一人でも多くの女性がいないといけない」と強調する。選挙事務所は白色を基調に、観葉植物も添えた「カフェ風」。政党幹部らの必勝祈願ポスターは別室に移し、子どもが遊ぶスペースを備え、子連れの人も入りやすいつくりにした。

 自民党現職の女性は「女性活躍推進には人一倍の思いを持っている」と、豊富な行政経験を実績として訴える。「政治の安定」を強調し、自民の女性国会議員たちも全面支援する。

 一方、日本維新の会新顔の女性は「政治経験ゼロ。2人の子どもを育てていて、それだけしか訴えるポイントは本当にない」と吐露する。それでも維新幹部はこう話す。「母親として、働く女性として政治活動と関係ないところで様々な経験をしてきた一般の人。だから候補者に選んだ」(根本晃、加治隼人、室矢英樹、中崎太郎)

 ■福島、与野党から女性候補

 与野党が激突する全国32の「1人区」のうち、主要政党が女性候補者を立てたのは半分を超す17選挙区だった。与野党とも女性を擁立したのが福島選挙区。いずれも訴えの力点を子育て支援策に置く。

 3選をめざす自民党現職の森雅子氏(54)=公明推薦=のキャッチフレーズは「2児の母としてふくしまを守る。」。演説では少子化相や男女共同参画相を務めた当時、幼稚園の保育料を第2子半額、第3子無償とする所得制限を撤廃したことなどの「成果」に触れ、「女性が安心して子どもを産み、出産後も活躍できる社会を」と訴える。

 対する野党統一候補として立候補した無所属新顔の水野さちこ氏(57)=立憲民主、国民民主、社民推薦=は、前福島県議。待機児童の解消や給付型奨学金の拡充を公約に掲げる。保育士を6年務めた経験をもち、「幼保無償化だけでなく、給与アップで保育士の数を確保することも必要だ」と主張する。

 NHKから国民を守る党新顔の田山雅仁氏(35)も立候補している。

 女性の政治進出が必ずしも進んでいる土地柄ではない。県内に五つある衆院小選挙区のうち、四つを男性が占める。市町村議会の女性議員の割合も全国平均を下回る。それでも、参院選で候補者の3割を女性とする目標を掲げる国民民主党が、「目標に合致する意味でも女性を出したかった」(同党県連の増子輝彦代表)と水野氏を担ぎ出した。女性候補者がなかなか増えない現実ゆえに、女性対決の構図が際立つ結果となっている。(奥村輝、小泉浩樹)

 ■男女双方の視点を

 上智大の三浦まり教授(政治学)の話 政治の場に女性が少ないままでは、性暴力やセクハラ、児童虐待、選択的夫婦別姓など男女で経験することが異なる課題について、女性の視点が反映されず後回しにされてしまう。男女双方の異なる視点をバランスよく政策に反映させる環境をつくることが、均等法のめざす姿だ。「政治は男性のもの」という意識を変え、女性が排除されてきた構造にメスを入れてほしい。そのためにも政党自身が女性候補者を育成し増やす支援や、当選できる体制づくりをより強めていく必要がある。

 ◆キーワード

 <候補者男女均等法> 国会と地方議会の選挙で、男女の候補者数をできる限り「均等」にするよう政党に努力を求める法律。昨年5月に全会一致で成立し、施行された。フランスには候補者男女同数法(パリテ法)があるため、「日本版パリテ法」とも呼ばれる。同法のもと、今年4月の統一地方選では女性議員の割合が軒並み上がった。

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