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 自然災害が多発し激しさを増すなか、効果的な防災策をどう講じるか。選挙戦を通じて各党は、具体的で説得力ある「安心への道筋」を示してほしい。

 政府は昨年、空港や河川などの設備を点検し、「国土強靱(きょうじん)化のため」として3カ年の緊急対策をまとめた。堤防のかさ上げや非常用電源の整備など、総事業費は7兆円にのぼる。

 自民党は今回の公約で、これらを「着実・迅速に進める」とし、電力や交通・物流インフラの強化を訴える。

 万一に備え、「守り」を固めるのは重要だ。だが、ハード面の強化だけでは限界があることを、現実が物語っている。

 政府のまとめでは、西日本豪雨のような雨が降った場合、甚大な被害をもたらす恐れのある河川は全国に約120、流失・傾斜の危険がある鉄道の河川橋は約50にのぼるという。見逃されたものもある可能性があり、すべてを手当てするには時間も費用もかかる。

 地域のつながりを重視し、ソフト対策を組みあわせることが不可欠だ。自治会単位で要支援者名簿を用意し、避難訓練の参加者を増やす。ハザードマップを住民自身が作ることも有効だろう。そうした取り組みを後押しする施策が求められる。

 発災後の被災者支援も課題が多い。避難生活の長期化や多発する関連死をうけて、全国知事会は昨年、被災者生活再建支援法に基づく金銭支給の対象を、住宅の全壊と大規模半壊だけでなく「半壊」世帯にも広げるよう政府に要請した。

 住まいの再建はくらしの基本だ。だが先月ようやく、内閣府が実務者会議を設けたにとどまる。速やかな実現に向け、検討のペースを上げる必要がある。

 生活支援に関しては、国民民主党が「被災者の税負担を減免する災害損失控除」の創設を、共産党は「被災者の自立のため、既存ローンの負担軽減」を公約に盛り込んでいる。自民党内にも生業支援の充実を提言した議員らがいる。こうした生活に直接かかわる政策が後回しにされてきた反省を踏まえ、これからの時代の支援策について全体像を競い合うべきだ。

 「防災庁」の創設を掲げるのは立憲民主党だ。公明党も司令塔的な組織の強化を訴える。人口減や高齢化で地方の力が低下し、広域災害に対応できない自治体もある。防災政策に一元的にあたる国の機関は必要だ。どんな態勢にし、役割を担わせるか。実態に即した姿を詰め、社会に問うてもらいたい。

 首都直下や南海トラフの巨大地震も危惧される。防災は待ったなしの課題だと認識し、論議を深める責任が各党にはある。

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