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 子どもたちを管理するルールが厳しすぎる――。そんな指摘を、東京都の「一時保護所」が第三者委員から受けていた。

 虐待などを理由に親元から児童相談所に保護された子が、最初に身を寄せる施設である。そこで、私語を禁止したり、ルールを破ったら壁に向かって食事をさせたりするなどの、いきすぎた指導や懲罰まがいの処遇が行われていたという。

 子どもを守るはずの施設が、「刑務所みたい」と恐れられたらどうなるか。「二度と戻りたくないから、こんど虐待を受けても黙って我慢しよう」といった思いを呼び起こし、自らを危険にさらすことになる。改善を急がなければならない。

 一時保護所はすべての都道府県にひとつ以上あるが、大都市部を中心に慢性的な定員超過に悩む施設も少なくない。限られた職員で子どもたちをまとめようとすれば、規則で縛ろうという発想に陥りがちだ。

 一人ひとりの子に丁寧に向き合う。それは心がけだけで実現できるものではない。接する大人の側にも余裕がいる。他の自治体も実態を点検し、必要に応じて施設の拡充やスタッフの増員などを考えるべきだ。それは自治体だけでなく、国の使命でもある。予算面などでの支援の強化が求められる。

 今回、問題が明らかになったのは、都が第三者委員の制度を設け、子どもや職員の話を定期的に聞くようにしたからだ。ここでも、間違った運営を正すうえで「外の目」の導入が効果的なことがわかった。だが、外部評価を実施しているところは一部にとどまる。もっと前向きに検討してはどうか。

 本人の声を聞く取り組みとして、「訪問アドボカシー」にも注目したい。アドボカシーとは代弁・権利擁護を意味する。大分大学の栄留(えいどめ)里美助教らは2年前から、児童養護施設などを2週間に1度訪問。子どもたちに面接して直接声を聞き、それを施設側に伝えてきた。さらに、子ども自身が進んで意見を言えるように後押しもする。

 実践を通じて栄留さんが感じるのは職員の変化だ。「以前は自分が何をすべきかを考えていたが、子どもが思っていることは何だろうと考えるようになった」との反応を聞くという。家庭から切り離され不安を感じている一時保護所の子にも、こうした訪問面接は有効だろう。

 6月に成立した改正児童福祉法は、子どもが意見を述べることや、それが尊重されることの重要性を踏まえ、22年をめどに「必要な措置を講ずる」と明記した。子の権利が確実に守られる社会に向けて、政府は速やかに検討を進めてもらいたい。

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