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 米軍機の事故現場の周辺を仕切るのは米軍で、日本の警察や消防は近づくこともできない。そんな実態がほんとうに改善されるのか、今後の運用を厳しく見極めねばならない。

 日米両政府が、基地の外で米軍機が墜落や不時着をした際の対応を定めたガイドラインを改定した。現場に近い規制線内への日本側の立ち入りを「迅速かつ早期」に行うと明記された。

 河野外相は「以前のようなことはなくなる」と胸をはるが、額面通りには受け取れない。立ち入りに米側の同意が必要な点は変わっていないためだ。

 夜間・早朝や人口密集地上空での飛行制限など、日米合意が守られない事例は多い。今回の改定も米軍の裁量次第で、有名無実化する恐れがある。

 このガイドラインが05年に策定されたのは、沖縄県宜野湾市で前年に起きた沖縄国際大への米軍ヘリ墜落事故がきっかけだった。米軍が現場を封鎖し、機体の残骸を回収するまで日本側の立ち入りを認めず、住民の怒りに火をつけた。

 このため、事故機は米国側の管理としつつ、現場付近は日米共同で、その外側は日本側が、それぞれ規制するなどの分担を定めた。しかし、立ち入りには日米双方の同意を条件としたため、その後も沖縄で続いた事故で、日本側が蚊帳の外に置かれる事態はなくならなかった。

 16年に名護市沿岸部でオスプレイが大破した事故では、海上保安庁の現場検証の前に米軍が機体を回収した。17年に東村(ひがしそん)の民有地に米軍ヘリが不時着した時は放射性物質の飛散が懸念されたが、日本側が現場に入った時には、米軍が機体の大半や周辺の土を持ち去っていた。

 一連の事態を受け、今回の改定では、事故機を撤去する際に米軍が地方防衛局を通じて土地所有者と調整することや、米側が有害物質についての情報を日本側に速やかに提供することも盛り込まれた。

 これに対し、沖縄県の玉城デニー知事は「一定の評価」をしながらも、速やかな立ち入りが可能になるのか、注視する考えを示した。米側の同意次第という原則が変わっていない以上、当然の反応だろう。

 問題の根には、在日米軍にさまざまな特権を認める日米地位協定がある。日本政府は運用の改善を中心に対応し、協定自体の改定には後ろ向きだが、住民のいのちと暮らしが脅かされる現状はこれ以上見過ごせない。

 米軍駐留を受け入れるドイツやイタリアでは、自国の法律を米軍にも適用している。在日米軍にも原則、日本の国内法を適用すべく、協定の改定作業に踏み出すべき時である。

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