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 米国大統領との会談を重ねても、挑発に走る姿勢は相変わらずのようだ。対話の機運に水をさす無責任な行動を、周辺国は黙認してはなるまい。

 北朝鮮が、日本海に向けて短距離弾道ミサイル2発を発射した。日本政府が分析し、確認した。5月の発射に続く国連安保理決議の違反行為である。

 南北の軍事境界線上で米朝首脳が3回目の会談をしてから1カ月。ミサイル発射は、その後も思うように進まない対米交渉へのいらだちの表れだろう。

 会談では、両国間の実務者協議を開くことが合意された。しかし、実際は今も協議は行われていない。今週のバンコクでの日米韓を含む国際会議にも、北朝鮮外相は欠席するとみられている。

 北朝鮮側は、昨年の初の首脳会談の共同声明に盛り込まれた「新しい米朝関係」と「朝鮮半島の平和体制」づくりにこだわっている。非核化に向けた措置よりも優先すべきだ、と反発している。

 だが新しい関係と言っても、その定義すらない。平和体制についても具体的な工程を詰めるためには、実務者協議が欠かせない。北朝鮮は策を弄(ろう)せず、速やかに応じるべきである。

 協議を始める前提として、経済制裁の緩和を求めるならば、筋が通らない。短距離といえども国際社会に弓を引くミサイル発射を続ける限り、安保理決議にもとづく制裁の変更は遠のくばかりだろう。

 一方、北朝鮮に核とミサイルの完全放棄を迫るべき日米韓の最近の対応にも、懸念を抱かざるをえない。

 トランプ米大統領は、5月に続き今回のミサイルも問題視しない姿勢を明らかにした。北朝鮮が韓国への警告だと主張している点を念頭に、米国を脅かさない短距離ならば事実上、容認する考えを示した。

 日米韓で協調して北朝鮮問題に取り組む責任を忘れたのだろうか。近い国への脅威は米国に無関係というならば、日本を射程に含む中距離ミサイルも黙認することになりかねない。

 トランプ氏が危うい自国第一主義を表明していても、安倍首相から特段の反応はなかった。今回のミサイルについて、日本の安全保障に影響を与えないとの見方を示したが、実際は2発とも日本の一部に到達可能な性能だったようだ。

 日本と韓国の間では、徴用工問題と貿易規制強化などをめぐる対立が、防衛当局同士の関係にも影を落としつつある。

 日米韓がそれぞれの個別事情に閉じこもり、連携して挑発行動に厳格な対応をとれないのは憂慮すべき事態である。

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