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 小学6年と中学3年を対象とする「全国学力調査」の結果が公表された。初めて中学の英語を科目に加え、読む・聞くだけでなく、話す・書くを含む4技能をテストした。

 ところが話す力の試験は、音声が記録されていない、雑音で聞き取れないなどの理由で、約1万5千人分(1・6%)の採点ができなかった。結果が返ってこない生徒は、がっかりし、あきれることだろう。

 設問は日常生活で英語を使う場面を意識した内容で、授業や勉強に取り組むうえで参考になるものだ。だとしても現場に多大な負担をかけて全員に話す力をテストする必要があるのか、疑問が突きつけられた。

 学力調査の実施は今年で12回目になる。抽出調査にしたのを全数調査に戻したり、教科を増やしたりして肥大化の道をたどってきた。何のための調査なのか、改めてその意義を問い直してはどうか。

 文部科学省が目的の最初にかかげるのは「義務教育の機会均等と水準の維持向上」だ。約50億円をかけて全数調査をする以上は、この目的の達成を何より考えなければならない。

 経済的な事情などから恵まれた学習環境にあるとはいえない地域や学校を、調査を通じて見いだし、支援をする。そのためにこそ活用すべきだ。

 生徒に文章を読ませ、自分の考えを英語で書かせるなど、授業を工夫すれば学力を伸ばせることがわかったと文科省は分析する。重要な指摘ではあるが、さりとて現場の努力だけで格差を埋められるものではない。行政はどんなテコ入れをするべきか、施策を練り、社会に説明することが肝要だ。

 政府は近年、学力調査の結果が良くなかった学校に教員を追加配置する措置を講じている。ただ予算はまだ300校分で、公立小中の約1%にとどまる。拡大を急ぐとともに、設備面の支援も進めたい。

 自治体の側も無益な順位競争とは決別する必要がある。大阪市が昨年、各校の成績を校長らの評価に反映させようとしたのはその典型だ。事前に過去の問題を解かせて、好成績を狙う学校があるとの指摘も絶えない。

 今回、小中学校のどの教科についても、すべての都道府県・指定市の成績は平均値の上下10%以内に収まった。その中のわずかな差に一喜一憂しても意味がないのは明らかだ。

 大切なのは日々の実践に生かせるヒントを探ることだ。例えば最近、デジタル機器を使った個別学習が注目されている。そうした試みの学力向上への効果を見極め、普及につなげることも、調査の大事な役割だろう。

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