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 東日本大震災の翌年に発足した復興庁が、設置期限の切れる21年3月末以降も、専任の大臣を置く現状に近い形で存続する見通しになった。

 自民、公明の与党がそう提言したのを受け、政府が年内に具体的な方針を定める。

 福島県には原発事故の避難指示区域が残り、大津波に見舞われた岩手、宮城両県でも復興事業がまだ完了しない。

 この被災地の現状を見れば、存続は当然だろう。

 だが、復興事業を引き継ぐだけの組織では評価できない。

 いま、南海トラフ地震や首都直下地震が高い確率で見込まれる。これこそ「国難」であり、それに備えた全国的な防災機能の強化や、復興のあり方の研究を担う組織が求められている。

 事前防災から災害対応、復旧復興までを一元的に担う司令塔である。そんな組織に復興庁を改組する好機なのだ。

 現在は、首相官邸主導で発生に対処し、内閣府の防災担当約90人らが被災者支援にあたる。

 3年前の熊本地震などでは、それなりに通じたように見える。だが、南海トラフ地震では全壊・全焼が200万棟を超す想定もある。とうてい、現体制で乗り切れるとは思えない。

 復興庁も、内閣府防災担当の職員も、各省庁から数年単位で出向している。霞が関の連絡調整は得意だが、災害現場の知識やノウハウの蓄積は万全とは言いがたい。

 だからこそ、社説は「防災庁」の新設を主張し、専門職員の確保、育成を求めてきた。

 たとえば、復興庁と内閣府防災担当を合体して大臣を置く新組織をつくり、毎年、専門職員を新規採用し続けてはどうか。

 霞が関の縦割りを排して新たな司令塔をつくれば、国民世論に防災の必要性、緊急性を強く訴える効果も期待できる。

 こうした発想は、全国知事会の「防災省」案をはじめ、与党内にもあった。自民党総裁選で石破茂元幹事長が唱えたほか、公明党も参院選公約に「復興・防災庁の創設」を掲げた。

 建設的な議論にフタをして、復興庁を存続させるのでは現状の追認であり、危うい対応と言わざるを得ない。

 自らの権限や事業を奪われると、警戒し抵抗する省庁もあるのだろう。

 しかし、高度経済成長の下、深刻化する公害への対策に取り組むため、当時の佐藤栄作政権が省庁の枠組みを超えて環境庁をつくった前例もある。

 復興庁を核に「防災庁」をつくり、大災害に備えるよう、政府・与党に再考を求める。

 それこそが東日本大震災の教訓を生かす施策だと考える。

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