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 学校法人森友学園(大阪市)への国有地売却や財務省の関連文書改ざん・廃棄をめぐる大阪地検特捜部の捜査が終わった。

 特捜部が昨年5月、38人の関係者を不起訴とした後、大阪第一検察審査会が佐川宣寿(のぶひさ)・元財務省理財局長ら10人について「不起訴不当」とした。それを受けて再捜査が行われたが、結論は変わらなかった。

 財務省はなぜ、鑑定価格から9割近く、8億円余も値引きして国有地を森友側に売却したのか。その決裁文書や報告書の改ざんと廃棄は誰が、なぜ判断し、どう実行されたのか。

 特捜部は「必要かつ十分な捜査をしたが、起訴するに足りる証拠を収集できなかった」と説明した。これでは何をどう追加捜査したのかさえわからず、疑惑は晴れないままだ。

 国有地は国民共有の財産であり、公文書は国民共有の知的資源である。異例の安値売却で貴重な財産が損なわれ、行政の公平性がないがしろにされた疑いは否定できない。文書の改ざんと廃棄で国民の知る権利の土台が傷つけられ、それをもとに国会で審議が重ねられた。

 民主主義の根幹にかかわる事態である。うやむやにすますわけにはいかない。

 まず問われるのは麻生財務相だ。前代未聞の不祥事にもかかわらず、佐川氏の辞職を認めただけで自らは職にとどまり、踏み込み不足が目立った財務省の内部調査でお茶を濁してきた。

 その麻生氏を任命した安倍首相に関しては、妻昭恵氏をめぐる疑問が今も消えていない。

 森友学園が開校を目指していた小学校の名誉校長に昭恵氏が就いていたことが、一連の問題の背景にあったのではないか。そんな見方を裏付けるかのように、文書から昭恵氏らの名前が削除されていたことがわかった。首相は「私や妻が関わっていれば、首相も国会議員もやめる」と発言したが、自ら解明に動くことはなかった。

 行政が正常に機能しないのならば、国会がただすしかない。

 大阪地検に再捜査を求めた検察審査会の議決は、「常識を逸脱した行為」「言語道断」といった言葉で異常さを指摘した。審査会のメンバーはくじで選ばれた市民の代表だ。その素朴な怒りに応えることこそが、国民を代表する国会の責務である。

 佐川元局長は昨年3月の国会での証人喚問で「刑事訴追の恐れがある」として証言を拒否した。捜査終結で訴追の恐れはなくなった。佐川氏を再び国会に呼ぶことが、とるべき対応の出発点だろう。

 捜査当局による「森友事件」は終わった。しかし「森友問題」を終わらせてはならない。

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