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 太陽光をはじめとする再生可能エネルギーの導入を後押しする固定価格買い取り制度(FIT)を、政府が大きく見直す。新設の大規模事業用太陽光発電などを対象に、「全量買い取り」をやめて自立させ、国民負担を抑える狙いだ。

 コスト削減が進んできたためだが、将来の主力電源と位置づける再エネへの過度なブレーキとならぬよう、制度設計には慎重を期してほしい。

 FITは2012年に始まった。10~20年にわたって高値で電気を買い取る仕組みだ。水力を除く再エネ比率は制度開始前の2・7%から3倍以上に拡大した。一方で、買い取り費用は膨らみ続け、19年度には2・4兆円が電気料金に上乗せされて国民負担となる見通しだ。

 見直し案では、大規模太陽光や風力を「競争力ある電源への成長が見込まれる」と位置づけて脱FITをはかる。入札制度で価格をさらに下げたうえ、事業者は電気の売り先を自ら見つけたり、卸売市場に供給したりする仕組みにしていく。

 また、需給バランスを見つつ発電や機器の点検・調整をするといった行動を促し、特別扱いを減らす方向だ。

 事業用太陽光の発電コストは、火力発電に肩を並べる水準まで下がってきた。それでも完全に独り立ちして新規事業に投資できる状況ではないといい、政府は今後、事業の収益性の見通しが立てやすいよう何らかの支援策を検討する。

 FITは再エネにとって自転車の補助輪の役割を果たしてきた。ここで転んでしまっては元も子もない。補助が続く間に、再エネ事業者は競争力をいっそう高め、既存の電源に太刀打ちできる力をつけてほしい。

 大手電力にも注文がある。送電網の開放だ。これまでは、原子力や火力などに使うため送電線の空き容量が無いとして、再エネの受け入れを拒む例が相次いでいた。

 だが、東京電力が、千葉方面の送電線の状況を1時間刻みで改めて調べたところ、原発4~5基分にあたる500万キロワット分を新たに受け入れても、99%の時間帯は問題がなかった。送電網の増強にかかるとしていた10年前後の時間と1千億円規模の費用は不要になる。実際に受け入れに動き出した。

 簡単に「できない」と突っぱねる姿勢を改めねばならない。動かない原発用に送電線を確保しつづけるのも不合理だ。

 送電線の利用料が高すぎるのではないかと不満を持つ再エネ業者もある。透明性のある価格設定と丁寧な説明が必要だ。再エネの主力電源化に、業界あげて注力してほしい。

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