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 福島第一原発で増え続けている汚染水を、どう扱うべきか。専門家でつくる経済産業省の小委員会で、これから数十年にわたって長期保管するという新たな案の議論が始まった。

 東京電力は長期保管に否定的だが、小委員会は長所と短所を客観的に検討してほしい。

 1~3号機の原子炉では、事故で溶け落ちた核燃料を冷やす注水や地下水の流入で、いまも放射能で汚染された水が1日150トンのペースで生じている。放射性トリチウム(三重水素)を浄化装置で取り除くことができないため、敷地内にタンクを増設しながら保管している。

 小委員会は3年前から、「薄めて海に流す」「水蒸気にして大気中に出す」など、五つの処分法について議論してきた。各地の原発で法定基準に従ってトリチウムを含む水を海に流していることもあり、海洋放出が有力視されてきた。

 だが、海洋放出には地元の漁業関係者らが反発している。昨年夏、福島や東京であった公聴会でも反対論が噴出した。「長期保管を検討するべきだ」との声が相次いだのを受け、新たに議論を始めることにした。

 長期保管すれば漁業への悪影響を回避でき、年月とともに自然に放射能量が減るのを待つことにもつながる。半面、用地を確保できるのか、長期にわたって安全性を保てるのか、廃炉作業の邪魔にならないかといった懸念もつきまとう。

 小委員会は、長期保管のコストやリスクなどを丁寧に検討しなければならない。

 気になるのは、東電が「2022年夏ごろにタンクが満杯になる」と発表したことだ。タンク用地の確保が難しくなるのを理由に、処分法を早く決めるよう国を促したともいえる。

 小委員会はこれにせかされることなく、本当にタンク増設の余地がないのかを慎重に見極めるべきだ。

 検討を進めるには、東電による情報開示が不可欠である。

 この点について、東電の姿勢には問題が多い。先日の小委員会でも、「22年夏で満杯」の根拠となる図面や数値を東電は十分に示さなかった。「意図的に見せなかったのでは」との見方さえあるほどだ。

 東電は昨年、浄化処理後にトリチウム以外の放射性物質が基準を超えて残っていた事実を積極的に公表しなかったことで、厳しい批判にさらされた。そのことをきちんと反省したのか、疑われても仕方あるまい。

 東電は都合の悪い事実を含めて情報開示を徹底し、地元との対話に努める責務がある。汚染水の取り扱いの検討は、地元の理解なしには進まない。

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