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 税金の使い方を行政や議会に任せきりにせず、市民の目でチェックし、透明にしていく。そうした取り組みをさらに広げていきたい。

 行政への監視活動をする各地の市民団体が集まり、全国市民オンブズマン連絡会議(事務局・名古屋市)を立ち上げたのは1994年夏。それから四半世紀になる。

 ある自治体で判明した公費の乱用は、他の自治体にもはびこっているのではないか――。そう考え、条例や要綱に基づく情報公開制度を活用して、一斉に関連文書の公開を求めた。

 最初に目をつけたのは、打ち合わせと称して使われる食糧費だ。全国の都道府県や政令指定都市を対象に調べ、役人同士の飲み食いに年間数百億円が費消される「公費天国」ぶりを明らかにした。「官官接待」は95年の流行語にも選ばれた。

 さらに、実態がないカラ出張やカラ懇談会による役所の裏金づくりをあばき、行政を監視する議会の海外視察や政務調査費にまつわる公私混同ぶりも追及。役所や議会側が「業務に支障をきたす」として文書を黒塗りにすると、裁判で全面公開を求めた。自治体の公開内容を比較し、点数化した「公開度ランキング」はすっかり定着した。

 情報公開制度とともに、市民オンブズマンが活用したのが住民監査請求と住民訴訟だ。

 税金の使途に疑義があれば、まず自治体の監査委員に訴える。その判断に納得できないと裁判を起こす。住民全体の利益を守ることを目的に、地方自治に備えられた仕組みである。

 市民オンブズマンは、自治体幹部らを対象にカラ支出や市民感覚からかけ離れた高額接待分を返還するよう監査請求し、裁判にも訴えて税金を取り戻した。議会の政務調査費をめぐる訴訟でも勝訴を重ね、無駄遣いの削減につなげた。

 いまでは交際費の支出について日付や内容、金額を一覧表にして公開する自治体トップが少なくない。議会でも、海外視察の詳細や政務調査費の支出内容を公表する例が増えた。一連の取り組みが住民の関心を高め、変化を促したといえるだろう。

 ただ、懸念も少なくない。

 議会の政務調査費など公費支出をめぐる不正は後を絶たず、裁判所によるチェックも十全とは言えない。監査請求と住民訴訟の制度がない中央省庁などと国会については情報公開がますます重要になるが、公文書の廃棄や改ざんが相次いでいる。

 連絡会議事務局長の新海聡弁護士は「オンブズマン活動は民主主義を実のあるものにする」と話す。市民が情報を知る大切さを、いま一度確かめたい。

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