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 将来の年金はどうなるのか。人口推計や経済見通しをもとに5年ごとに点検する、年金の財政検証の結果が公表された。

 高齢化と人口減少が進み、受け取れる年金の水準低下は避けられない。厳しい現実を改めて突きつける内容だ。痛みを和らげるために何ができるのか。結果をもとに、改革の議論を深めなければならない。

 年金の水準は、現役世代の平均手取り収入の何割か(所得代替率)で示される。今年度は61・7%だが、経済成長などを見込むケースでも約30年後には51・9~50・8%に低下する。

 特に基礎年金は給付を抑えるための調整期間が長く、約3割低下する見通しだ。

 いくら年金財政が安定しても、安心して老後を迎えられそうにない。そんな不安をどう解消するのか。

 政府は高齢者もできるだけ長く働ける環境を整え、年金の受給を遅らせると年金額が割り増しになる仕組みの拡大や、働く高齢者の年金を給料に応じて減額する仕組みの見直しを進める考えだ。

 働き手を増やす取り組みは重要だ。だがそれだけでは、公的年金に対する安心感を高める効果は限られている。

 何より急ぐべきは、非正規雇用で働く人などが厚生年金に加入しやすくすることだろう。本人が手厚い年金を受けられるようになるだけでなく、基礎年金の水準低下を抑える効果があることが、財政検証のオプション試算でも示されている。

 保険料負担が増える中小企業への目配りは必要だが、最優先で取り組むべきだ。

 基礎年金の保険料を払う期間を20歳から60歳までの原則40年から、65歳までの45年に延ばすことも底上げの効果が大きい。ただし、基礎年金の国庫負担分の財源を考える必要がある。今後の検討課題だろう。

 野党の中には、基礎年金には給付抑制をかけないで、一定程度の年金額を保障すべきだという主張もある。しかしそのためには、財源など検討すべき問題が少なくない。年金制度だけで全てを解決するのは難しい。生活が苦しい人への対応は、福祉政策での対応も含めて考えるのが現実的ではないか。

 こうした議論の前提となる財政検証はこれまで、作業に使う経済見通しなどを決めてから約3カ月後に公表されていた。今回は6月初旬とみられたが大幅に遅れ、7月の参院選への影響を避けたい政府・与党による先送りだと批判された。そんな疑念を持たれること自体、年金制度への信頼を傷つける。政治状況に左右されぬよう、公表日程のルール化も検討すべきだ。

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