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 空母の保有や米国製の高額兵器の購入が、どこまで日本の防衛に役立つのか。政府は限られた予算の中で、費用対効果や優先順位を見極め、導入の狙いや運用方法について、正面から国民に説明を尽くすべきだ。

 防衛省が来年度予算の概算要求を公表した。今年度当初予算比1・2%増で、総額5兆3223億円は過去最大である。

 護衛艦「いずも」の空母への改修費に31億円を計上。同艦で運用する米国製の最新鋭ステルス戦闘機F35Bをまず6機、846億円で購入する。

 専守防衛から逸脱する「いずも」の空母化に、社説は一貫して反対してきた。巨額な費用に見合うだけの効果があるのか、自衛隊や専門家の間にも疑問の声がある。政府が空母と認めず「多機能な護衛艦」と称して、本質から目をそらしていることも正確な評価を阻んでいる。

 政府は離島防衛や太平洋の防空への活用を強調しているが、「いずも」が現在搭載している対潜ヘリの一部をF35Bに積み替えれば、潜水艦への警戒能力は低下する。有事には格好の標的にもなりかねない。

 狙いはむしろ、米軍支援ではないか。日本側は、自衛隊がF35Bを運用できるようになる前に、米軍機が先行利用するとの見通しを米側に伝えた。インド太平洋を視野に、安全保障関連法のもとで軍事活動の一体化がなし崩しに進む懸念がある。

 陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」については、ミサイル発射装置を米国から購入する費用など122億円が盛り込まれた。

 配備候補地とされた秋田、山口両県の地元の反対は根強い。とりわけ秋田では、防衛省の調査報告書に相次いで誤りが判明し、先の参院選の秋田選挙区では配備反対を掲げた野党系候補が当選している。

 土地造成など特定の配備地を前提とする経費は計上しなかったが、設置場所も決まらないのに発射装置だけ先に購入する手法は、地元の不信を拡大するだけではないか。やはり、導入の是非から再考すべきだ。

 宇宙、サイバー、電磁波など軍事技術の革新も進み、日本周辺の安全保障環境はかつてなく複雑な様相を呈しつつある。それだけに、対米配慮に偏ることなく、真に有効な防衛のあり方を考え抜かねばならない。

 昨年末に「防衛計画の大綱」「中期防衛力整備計画」が改定されたが、これまで国会の監視機能が十分に果たされたとは言いがたい。近隣外交のあり方も含め、日本の安全保障についてどんな見取り図を描くのか。年末の予算編成に向け、臨時国会での徹底論戦を求める。

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