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 金融機関の口座で10年以上、出し入れがない「休眠預金」を使って、生活が苦しい人や子どもへの支援、地域活性化など、民間団体による公益的な活動を後押しする――。年に数百億円うまれる休眠預金のうち、今年度からまず20億円程度を使うための作業が、急ピッチで進んでいる。

 ただ、NPO法人や社団・財団など民間公益活動を担ってきた組織は、様々な問題点を指摘している。そうした声に耳を傾け、開かれた手続きで取り組むことが肝要だ。

 休眠預金は預金保険機構に移された後、全国で一つの「指定活用団体」に交付される。そこから各地の「資金分配団体」を経て、個々の事業を行うNPOなどの「実行団体」が活用する。これが制度の概要だ。

 司令塔にあたる指定活用団体には今年初め、経団連が設立を主導した「日本民間公益活動連携機構」が公募で決まった。いまは機構が資金分配団体を選んでいる。その公募には50の団体が手をあげ、最大で30を目安に今秋、選定される。

 国民の資産である休眠預金の活用には、透明性と公平性が欠かせない。機構は分配団体の決定後、選定に関する情報を公開する方針だが、前倒しで開示するべきではないか。

 機構が今春、全国10カ所で開いた資金分配団体の公募説明会などでは、NPOなどから様々な疑問や懸念が示された。

 その一つが、民間公益活動と「政治」との関係だ。

 政治上の主義の推進・反対を主な目的とする団体は対象外だが、機構はパンフレットに「反政府活動を行う団体は対象外」と記し、「政権の方針と異なる考えの団体を排除するのか」と問題になった。機構は「単純ミス」としてパンフを回収したが、価値観の多様性は民間公益活動の重要な要素である。

 資金分配団体が必要とする資金のうち、機構が助成するのはその8割までで、2割以上を各団体が自力で調達する、とした規定も波紋を呼んだ。休眠預金頼みになるのを防ぐ狙いというが、寄付や会費などでまとまった資金を集められる団体は多くなく、小規模な組織がはじかれかねないからだ。

 一定の条件のもとで自己負担分を減らすことができる規定もあり、機構は柔軟に対応する姿勢だが、実情を踏まえた制度づくりを心がけてほしい。

 資金分配団体は、どんな成果をあげたのかを示す評価を求められる。取り組みの改善に評価は重要だが、成果をあげやすい分野や事業に資金が集中するようでは本末転倒だ。評価のあり方も考えるべき課題である。

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