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 事故が起きたのが例えば東京の上空であっても、政府は同じ対応をとるのだろうか。

 沖縄の米軍普天間飛行場所属の大型ヘリCH53Eから、重さ約1キロのプラスチック製の窓が落下した。現場は本島東海岸沖だというが、詳細は不明だ。

 沖縄県などは、同型機の飛行を一時停止し原因を究明するよう求めた。だが岩屋毅防衛相は会見で、米軍にそうした要請をする考えはないとはねつけた。理由は「被害が生じたとの情報がない」からだという。

 国民の生命・財産を守るべき政府の姿勢とは到底思えない。

 昨年1月の衆院本会議を思い出す。沖縄で続発する米軍機トラブルを質問した議員に対し、当時の内閣府副大臣が「それで何人死んだんだ」とヤジを飛ばして、事実上更迭された。

 防衛相の発言は本質においてこのヤジと変わらない。基地に囲まれ、軍用機が飛び交う空の下で、激しい騒音と落下物の危険に日々さらされる県民の気持ちを踏みにじるものだ。

 普天間所属の同型機の事故は絶えない。17年10月に東村(ひがしそん)高江に不時着して炎上。2カ月後には宜野湾市の小学校の校庭に約8キロの窓を落とした。老朽化や整備不良が指摘されるが、日本政府は有効な対策を打ち出せていない。県の調べでは、在沖米軍所属の航空機による部品落下事故は、14年以降だけで今回を含め24件になるという。

 加えて著しい通報遅れまであった。事故の発生は先月27日午後5時半ごろとされるが、米大使館から防衛省に一報が入ったのは翌28日夜。沖縄防衛局経由で県が連絡を受けたのは、29日午後5時ごろだった。

 日米合同委員会の合意によると、落下事故があったとき、米側は日時、場所、被害状況などを速やかに日本政府に通報する取り決めになっている。あわせて、米軍から沖縄防衛局への直接ルートも用意されている。

 これらが機能せず、政府から県への連絡もほぼ丸1日を要した。確認作業に時間がかかったと政府は釈明するが、事故発生の事実だけでも、地元に急ぎ伝えるのが当然ではないか。

 普天間所属の部隊に絡んで問題が起きると、政権からは「だから辺野古移設を急がねばならない」との声が上がる。だがそれは、危険と不安を沖縄県内でたらい回しにするだけだ。

 7月の参院選でも、「辺野古NO」を訴えた無所属新顔が自民新顔らを破って当選し、民意に変わりのないことを示した。

 「普天間か辺野古か」ではなく、沖縄全体の基地負担をどうやって減らしていくかという根源的な課題に、政府は全力で取り組まなければならない。

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