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 鉄道の運行は安全が最優先だ。その基本の徹底へ、まずは原因の解明が急務である。

 南海電鉄(大阪市)が運行し、大阪・難波と関西空港を結ぶ特急ラピートの台車部分で相次いで亀裂が見つかった。

 先月下旬、走行中の音が気になった車掌の訴えをきっかけに、点検で約14センチの亀裂を発見。国の運輸安全委員会は深刻な事故につながりかねない「重大インシデント」に認定した。南海は6編成の36車両すべてを調べ、七つの台車の9カ所で亀裂が生じていたことを公表した。うち5カ所は、2年前の秋と今春に見つけていた分を今回、明らかにした。

 亀裂はすべて、重さが700キロ超のモーターを支える部位と台車の溶接部分で生じていた。

 運輸安全委は南海社員からの聞き取りや台車の調査を進めている。南海も点検態勢を強化しつつ、検査を鉄道総合技術研究所に依頼した。台車を設計・製造した現在の日本製鉄を含め、協力して取り組んでほしい。

 不可解なのは南海の対応だ。

 亀裂が公になったのは、南海が発見した2日後に運輸安全委が発表したからだ。南海はメディアの個別取材には応じつつ、記者会見を開いたのはさらにその4日後だった。

 会見では謝罪する一方、日本製鉄の説明や関連データをもとに「亀裂は台車の破断にはほど遠く、安全運行に支障はなかった」と繰り返した。

 台車の亀裂をめぐっては、17年末、走行中の新幹線のぞみの台車が破断寸前になったことが大きな問題となった。東京都内の東武東上線で16年春に起きた脱線事故は、台車の亀裂からバランスが崩れたとされる。

 今回の南海の事例について、運輸安全委は「最悪の場合、脱線につながるおそれもあった」と指摘した。南海の認識は甘いと言わざるをえない。

 過去の亀裂をすぐに発表しなかった対応も改善できないか。運輸安全委に報告し、重大インシデントとされなかったとしているが、積極的な情報公開が安全意識を高めるはずだ。

 日本製鉄も説明責任を果たしていない。運輸安全委が調査中だからというが、南海は「製造時の溶接部分の仕上げ具合で負荷がかかりやすくなった」と説明している。日本製鉄は台車の大手で、南海の一般車両や大阪メトロでも亀裂が見つかっており、首都圏の私鉄にも納入されている。直接説明するべきだ。

 ラピートは関空が開港した1994年に運行を始め、台車はすべて同年に製造された。南海は交換せずに修繕しながら使い続けてきたが、調査結果次第でその妥当性も焦点になろう。

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