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 巨大IT企業の個人情報収集で、利用者が不利益を受けることを防ぐには、どうすべきか。個人情報保護法制に加え、独占禁止法の枠組みを用いた規制の検討が進んでいる。

 公正取引委員会は先月末に、「デジタル・プラットフォーマー」と消費者の間の取引での「優越的地位の乱用」を規制できるようにする「考え方」の案を公表した。プラットフォーマーとは、電子商取引や検索、映像配信やSNSなどの「場」を提供する企業のことだ。

 「優越的地位の乱用」は従来、大企業が中小企業などに不利な取引条件を押しつける場合に適用されてきた。中小企業側からすれば、要求を拒んで取引を失うと事業が行き詰まるかもしれない。そんな弱みにつけ込む取引を規制する内容だ。

 巨大IT企業と利用者の関係にも似たところはある。ネット上のサービスは生活の隅々に浸透し、乗り換え先がない場合も多い。自分が差し出す情報の使われ方に不安があっても、そのサービスを利用せざるをえないために、情報提供に「やむを得ず同意した」とみられる場合もあるだろう。

 「リクナビ」による就活生の内定辞退率予測の販売では、そうした懸念の一端が現実化した。何らかの規制は必要で、「優越的地位の乱用」の適用も一つの手段になる。

 ただ、従来の独禁法の運用と比べ、今回の「考え方」は(1)消費者との取引を問題とし、(2)サービスの対価として「情報」を支払っていると捉える点で、大きく踏み込んでいる。一定の基準は示されているが、優越的地位の認定の仕方なども含め、従来よりあいまいな点も残る。無料サービスでも「情報」を対価と見る場合、企業への課徴金をどう運用するのかも不明だ。

 乱用行為の類型も示されているが、「利用目的の達成に必要な範囲を超えて」個人情報を取得する、といった抽象的な表現にとどまるものが多い。個人情報以外の情報も規制の対象にされているが、具体的類型は一つしか示されていない。

 もちろん、この分野は過去の事例の蓄積が少ないうえ、技術やサービス内容の変化も速く、基準や類型を示すのに限界はあるだろう。そうであればこそ、今後も議論を深め、より透明性の高いガイドラインを作り上げていくべきではないか。個人情報保護法や消費者契約法など他の法律との役割分担も、整理していく必要がある。

 社会を豊かにする技術やサービスの発展をできるだけ妨げずに、個々人の権利を守り、経済的利益の不当な侵害を防ぐ。あるべき規制の姿を探り続けたい。

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