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 地球規模で環境を脅かす事態は決して、当事国だけの問題ではない。国際社会と協調して解決をめざす姿勢が必要だ。

 南米ブラジルのアマゾン流域は、世界最大の熱帯雨林として知られる。この地域で今夏、森林火災が急増し、深刻な環境破壊が心配されている。

 今年に入って8月末までに、昨年1年間の火災面積とほぼ等しい広さが焼けた。その6割近くを8月だけで占めている。

 今世紀初めの10年間には、もっと大きな焼失が毎年のように起きていたという。だとしても今年の増え方は異例であり、懸念すべき状況になっている。

 アマゾンの自然には未知の領域が多く残され、生物多様性を支える希少種の宝庫である。だが火災の延焼は続き、隣国ボリビアにも広がった。

 焼失が続けば長期的に乾燥化が進み、気候変動のリスクが増えるという警告が、科学者たちから出されている。

 今は火災が起きやすい乾期ではあるが、今回の事態を招いたのは、大規模な農地を開くための野焼きという人為的要因が大きいとみられている。

 しかし、今年1月に就任したブラジルのボルソナーロ大統領の対応は後手に回ってきた。

 アマゾン開発の推進を掲げる大統領は、火災を内政問題としてとらえてきた。左派野党への対抗心にはやるあまり、火災は環境保護団体による自作自演だとするデマまで流した。

 国際的な懸念が高まった末に腰を上げ、消火活動への軍の投入などを始めたが、G7主要国の首脳たちが決めた緊急支援の2千万ドル(約21億円)は受け入れを拒んだ。火災対応を協議する地域諸国の会議も、自らの手術を理由に欠席した。

 大統領は、今月末の国連総会でアマゾン問題を話し合うことは受け入れる意向だが、主要国からの指摘などには「植民地主義だ」と反発したままだ。

 自国内での開発計画づくりはすべて国の主権の問題だ、と大統領は主張している。気候変動をめぐるパリ協定から離脱した米国と同様に、国際協調に背を向ける考え方がうかがえる。

 こうした一国主義の蔓延(まんえん)は憂うばかりだが、非難だけで事態は好転しないだろう。ブラジル政府と粘り強く対話し、説得するほかあるまい。持続可能でない開発は、長い目で見れば国富を細らせ、国民にも国際社会にも利益をもたらさない、と。

 日本とブラジルは、日系移民の歴史もあり、良好な関係を築いてきた。日本の国際援助も近年は地球環境分野に力を注ぐ。アマゾン問題の改善を探る工夫は、日本の国際貢献として時宜を得た取り組みではないか。

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