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 安倍首相が「全世代型社会保障検討会議」を来週にも立ち上げると表明した。消費増税を決めた12年の「税と社会保障の一体改革」以来の、本格的な社会保障改革の議論の場としなければならない。

 政府は一体改革の際に、団塊の世代がすべて75歳以上になる25年度までの社会保障の姿を示したが、その先の展望は描けていない。昨年5月には、高齢者人口がピークに近づく40年度に社会保障給付費が国内総生産比で24%まで上昇するとの見通しを公表しながら、「将来の社会保障」の議論は消費税率10%の実施まで封印してきた。

 ようやく開く検討会議では、高齢者の就労拡大や医療や介護の負担のあり方などを議論し、年末に中間報告、来年夏に最終報告をまとめるという。

 25年度に政策経費を新たな借金に頼らず賄えるようにする財政健全化の目標を掲げ、その実現に向け、来年夏に決める「骨太の方針」で社会保障の「負担と給付」のあり方などを示すとしてきた。それが念頭にあるのだろう。

 だが、多くの人が社会保障に抱く不安は、少子高齢化が進む将来、年金や医療、介護の制度がどうなるのかだ。目先の財政健全化も大切だが、長期的な展望を示さなければ国民の不安は拭えない。

 今の制度で対応しきれていない課題も山積みだ。政権が最重要課題と位置づけているのに歯止めがかからない少子化、金融庁の報告書をきっかけに噴出した老後への不安。困窮する人のための安全網を強化することも考える必要がある。

 新たな検討会議に求められるのは、長期的で幅広い視点に立った将来ビジョンを示すことだ。当面の課題と中長期で取り組むべき課題を整理し、腰を据えて議論してほしい。

 あるべき社会保障の姿を描くには、社会保障費をどう抑えるかという歳出改革の議論にとどまらず、必要な費用を賄うための歳入の確保策、税制の議論も不可欠だ。

 首相は先の参院選中、将来の消費増税を否定するかのような発言をした。増税なしが前提ならば、給付カットと利用者負担増だけの議論になりかねない。

 暮らしの安心のために必要な給付は何か、そのための財源をどう賄うのか。オープンな議論のなかで、給付と負担の選択肢を示し、国民的な合意を形成する。それが検討会議が果たすべき役割だ。

 「すべての世代が安心できる新しい社会保障のあり方を大胆に構想していく」という首相の言葉に恥じない、骨太な議論を期待したい。

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