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 欧米の中央銀行が相次いで利下げを決めた。景気の先行き懸念への対応だが、他の政策の矛盾が金融政策に押しつけられている面が強い。これでは世界経済の不透明感は拭えない。

 欧州中央銀行(ECB)は12日の理事会で、量的緩和の再開とマイナス金利幅の拡大を決め、政策の先行き指針も見直した。金融政策の余力を総動員する姿勢をにじませている。

 欧州経済は、ドイツが4~6月期にマイナス成長になるなど減速感が強まっている。物価上昇率も鈍っており、金融緩和で下支えを図る必要があると判断したかたちだ。

 一方、米国の連邦準備制度理事会(FRB)も、18日の会合で7月に続く利下げを決めた。

 米経済は堅調で、株価も最高値圏にある。それでも米中貿易摩擦が激化するといったリスクに対し、「保険をかける」(パウエル議長)と説明した。これ以上の緩和については、FRB内でも意見が割れている。

 景気の減速や物価上昇率の低下に応じ、中央銀行が利下げなどの策をとるのは理解できる。予防的な措置は必要以上の効果を生み、経済を不安定にする恐れもあるが、局面次第では先手を打つこともあり得るだろう。

 だが、一連の動きが釈然としないのは、問題の根源が、トランプ大統領の引き起こす米中摩擦の迷走にあることだ。中国に注文をつけるべき点はあるにせよ、自由貿易を軽視し、場当たり的な施策を繰り出すことで、安定的な経済活動を危地に追いやっている。その結果として金融緩和が必要とされるのでは、本末転倒だ。

 トランプ氏はそうしたことを省みるどころか、FRBに利下げを迫り、ツイッターでパウエル議長をののしっている。中央銀行の独立性を踏みにじるような振る舞いは看過しがたい。

 欧州についても、金融政策頼みが行き過ぎていないか、懸念がある。足元の景気停滞はやはり米中摩擦が影響している。

 加えてユーロ圏には、通貨が統合されているのに、財政は各国の判断任せという、制度のひずみがある。ECBのドラギ総裁は財政余力のある国に対して財政出動を求めているが、とりわけドイツの果たすべき役割は大きい。財政面での協調を進めるべきだ。

 日本銀行は、19日の金融政策決定会合で政策の現状維持を決めた。同時に黒田東彦総裁は、経済の下ぶれリスクが高まっているとして、追加的な緩和について、より「前向き」な姿勢を示した。有効な緩和策があるのか、あるとすればどのタイミングで実行すべきか。慎重な検討が求められる。

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