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 前例・慣行にとらわれたり、「今さら」とあきらめたりせずに、大胆な変更や発想の転換をためらうべきではない。

 東京五輪・パラリンピックのテスト大会がこの夏、屋外競技を中心に相次いで行われた。深刻な課題として改めて突きつけられたのが猛暑対策だ。

 五輪期間である7月24日から8月9日までの17日間、都心の気温は連日30度以上を記録。湿度や日射も加味した暑さ指数で「運動は原則中止」とされる日は、14日間にのぼった。

 ビーチバレーの大会では女子選手が軽い熱中症に。東京湾の水質への不安が持ち上がったトライアスロンでも、途中棄権やレース後に熱中症の症状を訴えた選手が搬送されるなどした。

 既にマラソンはスタート時刻を午前6時に、50キロ競歩も5時半に繰り上げている。他の競技や種目も、取り得る措置はないか柔軟に考えるべきだろう。

 競技時間だけではない。競歩では選手から「コースに日陰がなく、脱水状態になってもおかしくない」と訴える声が出た。コースの見直しや、研究者が提案する日差しをさえぎる天幕の設置など、効果のある対策を検討してもらいたい。

 パラリンピックの開催期間は8月25日から9月6日までだ。いくらかしのぎやすくなるとはいえ、障害によっては体温調節の難しい選手もいる。細心の注意と配慮が欠かせない。

 観客への対応も頭が痛い。

 水分を適切に補給してもらうため、組織委員会はペットボトル飲料の会場持ち込みを認めることを検討しているが、テロ抑止の観点からは問題がある。入場ゲートでのチェックを厳しくすると、待ち時間が長くなり、不測の事態が起きかねない。ここは知恵の絞りどころだ。

 国際オリンピック委員会も注意喚起を始めた。ホームページでは選手らに向けて、高温多湿の環境で最低2週間は体を慣らす▽競技前、競技中のどの時点で、どれほど水分をとるか計画を立て、試してみる――などを助言している。必要な費用の補助も検討してはどうか。

 近年の夏季五輪は、巨額のテレビ放映権料を負担する放送局の意向が働き、欧米の人気スポーツが手薄な7、8月に開催されてきた。しかし硬直的な運営は、選手や観客、開催地に大きな負担を強いる。地球温暖化の影響も考えて、幅広に検討する必要がある。さもなければ、五輪自体の持続可能性に疑問符がつくことになるだろう。

 テスト大会は秋以降も続く。近郊道路の渋滞対策も含め、これまでの、そしてこれから浮上する課題の一つ一つを着実に解決していかなければならない。

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