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 消費税率の引き上げに合わせて、10月から幼児教育・保育の無償化が始まる。

 認可保育所や認定こども園などに通う3~5歳児の保育料が無料になる。希望した認可保育所に入れず認可外施設などを利用する場合は、月3万7千円を上限に費用が補助される。

 手薄だった子育て支援を拡充することに異論はない。しかし喫緊の課題は、希望する施設に子どもを預けられない待機児童問題の解消である。目標実現の先送りが続く待機児童ゼロに向けた取り組みを、緩めてはならない。

 今年4月時点の待機児童数は前年より約3千人減ったものの、なお1万6772人にのぼる。無償化を機に認可施設を希望する人が増え、待機児童が再び増えるとみる自治体関係者は少なくない。

 その備えはできているのか。

 政府は2020年度までの3年間に32万人分の保育サービスを整備し、20年度末に待機児童をゼロにする目標を掲げている。だが、この計画は無償化の方針が示される前のものだ。

 無償化で地域の需要はどう変わるのか。これまで認可施設の利用をあきらめていた人など、潜在的な需要が表に出るのではないか。まずは地域の実態を把握し、整備計画を機動的に見直すことが求められる。

 無償化はしたけれど、施設の整備が追いつかない。そんなことがあってはならない。

 無償化の検討過程では、5年間の経過措置とは言え、国の基準を満たしていない認可外の施設の利用に公費を投じることに、自治体側から反対の声が上がった。

 国は、認可外の施設に対する指導・監督を強化し、安全性と質の確保に努めるとしている。しかし自治体では、年1回の監査にも手が回らないのが実情だ。実効性のある指導・監督ができる態勢を早急に整えるとともに、認可外から認可施設への移行を促す支援策も強化する必要がある。

 保育の「受け皿」拡充の切り札として、近年急増している企業主導型保育所では、地域の保育需要とのミスマッチや、経験の乏しい事業者の安易な参入、不安定な施設運営などの問題が起きている。質の確保にも目を向けるべきだ。

 施設を整備しようとしても、保育士不足で思うように進まない現状もある。せっかく施設ができても保育士を確保できず、子どもの受け入れ数を抑える例もある。

 一方で、資格を持ちながら働いていない「潜在保育士」は多い。保育士の待遇や職場環境の改善も、待ったなしである。

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