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 気候変動の危機を乗り越えるには、具体的な行動を起こさねばならない。地球温暖化対策の国際ルール・パリ協定のスタートを来年に控え、国連で気候行動サミットが開かれた。

 「我々は気候非常事態との競争に負けつつあるが、勝つことはできる」。グテーレス国連事務総長は、そう訴えた。各国は危機感を共有し、より強力な対策に取り組むべきである。

 パリ協定は、産業革命以降の気温上昇を2度未満、できれば1・5度未満に抑えることをめざす。だが、すでに気温は1度ほど上がっており、2030年代に上昇幅が1・5度に達する勢いだ。協定にもとづく現在の削減目標を各国が達成しても、今世紀末の気温上昇は3度を超すという。

 異常気象や自然災害が、経済や社会に深刻な打撃を及ぼしつつある。今回のサミットでスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさん(16)は「若者はあなたたちの裏切りに気づき始めている。もし私たちを見捨てる道を選ぶなら、絶対に許さない」と各国代表に訴えた。

 グレタさんら12カ国の少年少女16人は「気候危機は子どもたちの権利の危機だ」と、国連子どもの権利委員会に救済を申し立てた。サミット直前には160カ国以上で400万人を超す若者の一斉デモがあった。こうした若者たちの怒りを重く受け止めねばならない。

 グテーレス氏は、50年までに温室効果ガス排出をゼロにするべきだと強調した。その具体策として、20年以降の石炭火力発電所の新設中止や排出への課税の導入などをあげている。

 これに呼応して取り組みの強化を表明する国が相次ぎ、77カ国が「50年の排出ゼロ」を約束したのはサミットの成果だ。半面、米中やインドなど主要排出国の反応は鈍く、温度差が鮮明になったのは気になる。

 特に気がかりなのは、来年、米国がパリ協定から離脱することだ。世界で2番目に排出量が多い米国が自国の利益ばかりを考え、人類共通の危機から目を背けていては、ほかの国々の意欲がそがれかねない。トランプ氏は考えを改め、協定離脱を思いとどまるべきだ。

 日本への風当たりも強い。

 国内外に数多くの石炭火力の新設計画があり、政府の排出削減目標も腰が引けている。今回のサミットに安倍首相は出席せず、小泉環境相は対策強化を何一つ打ち出さなかった。日本には危機感がないのか、と疑われても仕方あるまい。

 脱炭素社会への道のりは険しいが、負の遺産を残さぬよう、あらゆる手立てを尽くすのがいまの世代の責務である。

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