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 驚くべき事態である。

 関西電力の岩根茂樹社長や八木誠会長を含む役員と社員計20人が18年までの7年間、同社の高浜原発がある福井県高浜町の元助役から、就任祝いなどとして計3億2千万円の金品を受け取っていた。

 発覚のきっかけは、原発工事を受注した土木建築会社への税務調査だった。この会社から元助役へ約3億円が流れ、その一部が関電側にわたっていたことが判明。これを受けて関電が昨年に調査したという。

 元助役は原発誘致に大きな役割を果たした人物で、関電も「助言・協力をいただいた」と認める。岩根社長は「返却を強く拒絶され、関係の悪化を恐れて、一時的に個人の管理下で保管していた」などと釈明し、「儀礼の範囲内」の分を除いて既に返却したと説明した。

 とうてい納得できない。そもそも、多額の金品を受け取ること自体が失格だ。お金の出所や趣旨をただしつつ受け取らないのが当然の対応である。

 税務調査の結果からは、関電が土木建築会社に支払った工事代金の一部が関電側に還流した構図が浮かび上がる。元をただせば契約者が支払った電気料金だ。経営陣の責任は免れない。

 会見での説明も、調査自体も、全く不十分だ。

 1年余り前に調査結果をまとめながら公表してこなかった。会見では受け取った人数や総額は示したが、社長と会長以外は役職も示さず、受領時の詳しい状況や認識も語らなかった。

 税務調査を受けて7年間に限って調べたというが、なぜさらにさかのぼらないのか。調査には社外の弁護士も加わったものの、要は社内調査である。独立した第三者検証組織を設け、高浜原発事業の着手時にさかのぼって徹底的に調べるべきだ。

 土木建築会社から元助役への資金提供については、東京電力の福島第一原発事故で原発事業全体が厳しさを増すなか、工事の受注を期待していたのでは、との見方も出ている。そもそも原発をめぐっては、とりまとめ役となる地元有力者と電力会社との不明朗な関係が繰り返し指摘されてきた。そんな癒着の構図を断ち切らねばならない。

 関電の八木会長は「個人的なことについては一切答えない」と語ったが、公益企業のトップとしての自覚を欠いた発言というほかない。菅原経済産業相は、事実関係を踏まえて関電に厳正に対処する考えを表明した。当然だろう。

 関電は、高浜原発3、4号機を再稼働させ、1、2号機でも再稼働に向けて対策を進めている。しかし、問題の全容を解明し、説明するのが先だ。

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