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 中華人民共和国が成立してから、70周年を迎えた。

 かつて毛沢東が成立を宣言した天安門楼上にきのう、習近平(シーチンピン)国家主席が立った。黒い人民服姿で、「いかなる勢力も中国人民と中華民族の前進の歩みを阻止できない」と演説した。

 この日の行事で最も時間が割かれ、注目されたのは、過去最大級の軍事パレードである。新型の大陸間弾道ミサイルなどが国内外向けに披露された。

 習氏は、100年を迎える今世紀半ばまでに「中華民族の偉大な復興」を遂げるという強国への目標を掲げている。それに向けた着実な進展の証しを見せつけたかったようだ。

 だが、こうした思考と行動にこそ、いまの中国の危うさが表れている。軍事力の誇示で、国際社会から敬意を集められると思っているのだろうか。

 軍事パレードは習氏の就任後6年間で3回目だ。江沢民氏や胡錦濤氏は50周年と60周年の際の1回ずつだけだった。習氏のこだわりは際立っている。

 肥大化する中国の軍事力は、地域の安全保障環境を悪化させている。南シナ海では、係争海域で一方的に岩礁を埋め立てて兵器を配備した。

 台湾に対しては、武力統一の可能性を「決して排除しない」という。東シナ海も含め、中国の空母や軍用機、潜水艦などの動きが活発化している。

 こうした現実を前に、周辺国が習氏の言う「平和的発展」を額面通り信用できないのは無理もない。「一帯一路」と呼ばれる開発構想についても覇権狙いの疑いが拭えない。

 近代の中国は、欧州列強や日本による侵略に苦しんだ。だからこそ大国の利己的な行動を、強く非難してきたのは中国自身だったはずだ。70年を機に、時に尊大に映る自らの姿を見つめ直してもらいたい。

 大躍進運動や文化大革命などの悲惨な歴史を経て、中国は改革開放によって経済を成長させた。今や豊かさを多くの中国人が享受しているのは事実だ。

 しかし天安門事件後、民主化は進んでいない。人々の政治参加は制限され、人権侵害が絶えない。新疆やチベットでは少数民族への弾圧が続く。香港ではきのうも若者らの激しいデモが起きたが、それは「中国化」への拒否反応にほかならない。

 共産党は不満を抑え込む統治を改め、民の自由を広げる政治改革に乗り出すべきだ。気候変動、核軍縮、貧困など、率先すべき地球規模の課題も多い。

 このまま時代錯誤の強権国家として摩擦を生み続けるのか、それとも国際社会との真の平和的共存をめざすのか。持続的な発展のかぎはそこにある。

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