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 民族差別を助長し、集団虐殺を容認するかのような言動は一線を越えており、国会議員としての資質を明らかに欠いていると言わざるを得ない。

 動画投稿サイト「ユーチューブ」で公開された、NHKから国民を守る党(N国)の立花孝志党首の対談中の発言である。

 立花氏は、戦争を防ぐには世界の人口を抑制する必要があるとの考えを示したうえで、そのためには「『アホみたいに子どもを産む民族はとりあえず虐殺しよう』みたいな」「ある程度賢い人だけを生かしといて、後は虐殺して」などと語った。

 日本から途上国への教育支援にも疑問を呈し、「犬に教えるのは無理。犬に近い。世界中の人間には、それに近い人が圧倒的に多い」とも述べた。

 第2次大戦中のナチス・ドイツによるユダヤ人虐殺を教訓に、国連総会は1948年、集団殺害を国際法上の犯罪とし、防止と処罰を定めるジェノサイド条約を採択した。集団虐殺が許されないことは国際常識である。立花氏の発言は言語道断というほかない。

 立花氏は発言が報じられると、「反論」と題する動画を配信した。「どっかの国の人たちを殺してしまおうとか、そんなつもりはさらさらない」と釈明したが、撤回や謝罪はなく、「書いてくれることによって話題は尽きないので、それはそれで全然いい」と開き直った。

 受信料を払った人だけがNHKを視聴できるスクランブル放送の実現を訴えるN国は、7月の参院選の比例区で98万7千票余りを集めて1議席を獲得し、党首の立花氏が当選した。

 「NHKをぶっ壊す」など、過激な言動で耳目を集める立花氏の手法は「炎上商法」と指摘される。与野党の間には、その手には乗るまいということか、立花氏に対し及び腰の空気も漂う。しかし、公人として常軌を逸した今回の発言を、いつものことと見過ごしてはいけない。

 戦争による領土問題の解決を肯定するかのような発言をして、衆院で全会一致の「糾弾決議」を受けながら、議員辞職を拒み続ける丸山穂高衆院議員を招き入れたのも立花氏である。N国は参院選で政党要件を満たし、6900万円の政党交付金も配分される。党首の責任は厳しく問われるべきだ。

 選挙で選ばれた議員の地位が重いことは言うまでもない。しかし、日本の国会議員が集団虐殺を容認したと受け止められれば、国際社会に対しても誤ったメッセージとなり、国会全体の信頼を損ないかねない。ここは、与野党が一致して、立花氏に対し、厳しい意思を明確に示さなければならない。

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