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 日本郵政グループが、かんぽ生命の不正な保険販売について中間報告を公表した。法令違反が疑われる契約が約1400件、社内規定違反の疑いを含めると約6300件に達する。約2万6千人が、契約を元に戻すことなどを求めているという。

 まだ対象の4割しか状況を確認できておらず、調査を急ぐ必要がある。ただ、調べ方がずさんではないかとの声も現場にはあり、顧客の立場に立った丁寧な作業が不可欠だ。

 郵政グループとして信頼回復に努めなければならないが、中間報告の記者会見をみる限り、経営陣がどこまでその責任を自覚しているのか、疑わしい。

 持ち株会社である日本郵政の長門正貢(まさつぐ)社長は、今回の問題の原因として「持ち株会社の経営陣まで(情報が)あがっていなかった」と繰り返した。

 グループの体制についても、完全民営化が予定される上場子会社が含まれるので「中国のような中央集権的な運営はできない」。連邦型の組織の中で、情報が集まるようなアンテナを伸ばしたいと述べた。

 改善策を講ずるのはいいが、前提となる現状認識が甘く、言い訳にしか聞こえない。

 社外弁護士らによる特別調査委員会は、かんぽ生命は個人向け商品のほぼすべての販路を日本郵便の郵便局に依存しているため、適正販売の管理指導が困難だと指摘している。そのうえで、持ち株会社が、その補完のための適切な統制をしていなかった可能性を挙げる。

 不正の主舞台になった日本郵便は非上場で、日本郵政の100%子会社だ。長門氏は日本郵政社長に加え、かんぽ生命、日本郵便両社の取締役も務める。自らの責任を省みるべきだ。

 さらに驚くのは、昨年かんぽの販売問題を報じたNHKの番組への対応だ。長門氏は「今となってはまったくその(番組の)通り」で反省していると述べるが、当時は「偏っているのではないかと感じた」。自社の問題点に目を向けるどころか、NHKへの抗議に動いた。会長らに質問状を出したが主張が通らないので、経営委員会にクレームを言ったという。

 反論があるのであれば、一般的な手続きで問題を指摘すればいい。元総務省幹部を経営陣に擁し、強い政治力も持つ郵政グループが、個別番組への関与を禁じられている経営委員会をも通じて、公共放送に水面下で圧力をかけた事態は重大だ。

 長門氏やかんぽ生命、日本郵便のトップは、信頼回復の実現が経営責任だと主張し、辞任を否定する。しかし問題の本質から目を背けてきたトップの下では、立て直しはおぼつかない。

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