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 ようやく臨時国会が始まった。野党の立憲民主党や国民民主党などが統一会派を組んで臨む初めての国会である。山積する内外の課題に対し、与野党がともに真剣に議論を戦わせ、行政監視機能を果たさねばならない。立法府の役割を取り戻す正念場である。

 きのうは安倍首相の所信表明演説があった。この1日に10%に引き上げられた消費税については、軽減税率導入などの対策を列挙し、「国内消費をしっかりと下支えする」と語った。ただ、そもそもなぜ増税が必要なのか、国民に理解を求める場面はなかった。

 喫緊の重要テーマであるにもかかわらず、通り一遍の言及しかなかったのは、今国会最大の焦点と目される日米貿易協定も同様である。「日米双方にウィンウィンとなる結論を得ることができた」と胸を張ったが、具体的な合意内容に触れることはなく、農家への対策を強調しただけだった。

 経済や安全保障、市民交流にまで悪影響を及ぼしている日韓関係打開の意欲も示されなかった。外交方針を示したくだりで、韓国を取り上げたのは中国、ロシアに続く一番最後。それも、「韓国は重要な隣国だ」としながら、「国際法に基づき、国と国との約束を遵守(じゅんしゅ)することを求めたい」と、徴用工問題を念頭に、もっぱら注文をつけるだけだった。

 新元号を用いた「令和の時代にふさわしい日本」「令和の時代の新しい国創り」などのスローガンは連呼されたが、具体的な将来像や政策の全体像が示されたとは言いがたい。

 憲法改正については、演説の最後で「令和の時代に日本がどのような国をめざすのか。その理想を議論すべき場こそ、憲法審査会ではないか」と述べ、「国民への責任を果たそう」という訴えで締めくくった。しかし、国民の間で改憲を求める機運が高まっているとは言えない。「改憲ありき」の議論は「国民への責任」を果たすことにはなるまい。

 安倍政権は先の通常国会の後半、野党による予算委員会の開催要求を一顧だにせず、参院選後の臨時国会の早期召集にも応じなかった。論戦を回避する政権の姿勢こそが、国会の行政監視機能の空洞化を招いている。

 今国会では、あいちトリエンナーレへの補助金取り消しや、NHKのかんぽ不正報道をめぐる一連の問題、関西電力役員らの金品受領など、表現の自由や原子力政策の根幹にかかわる重いテーマも控えている。まずは政権が国会での説明責任に真摯(しんし)に向き合う。それが立法府を立て直す出発点である。

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