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 関西電力の首脳らが福井県高浜町の元助役から多額の金品を受けとっていたことが明るみに出て、原発につきまとう問題があらためて浮かび上がった。金品の受領にとどまらず、議会を含む自治体の協力を取り付けるための不透明な行動や、それを見逃す企業体質である。

 他の電力会社にも厳しい視線が向けられている。業界あげて襟をたださなければ、原発の再稼働を求めることにすら理解を得られないだろう。

 現金や商品券、金貨にスーツ。関電側が受領した金品は計3億円を超す。「受け取れないのか」と激高する地元有力者の機嫌を損なえば、東京電力福島第一原発の事故で逆風が強まった原発の再稼働にも障害となると考え、断れなかったという。

 意をくんで動いてくれる有力者との間では不適切な関係に目をつぶり、代々の担当者が前例を踏襲していく。そんな体質があらわになった。

 原発の再稼働に注力する他の大手電力は「迷惑だ」と言わんばかりに、「そんな事例はない」と表明している。

 ただし、原発をめぐる不透明さは金品の受領に限らない。地元と良好な関係を保てるように手を尽くすことは、電力業界では常識だ。

 実質国有化されて経営再建中の東電が原発を建設中の青森県東通(ひがしどおり)村に対して寄付をするなど、電力各社は様々な形で立地地域に便宜を図ってきた。原発を建て、動かすため、違法とまでは言えなくとも、不適切だったり、市民感覚とかけ離れたりしている事例はないのか。もしもあるならば、進んで公表しなければならない。

 大手電力10社でつくる業界団体の電気事業連合会は行動指針で「社会的良識をもって誠実かつ公正な事業活動を遂行する」と定める。それでも九州電力で2011年、住民が原発再稼働に賛成しているように見せかけようと、社員がテレビ番組に賛成意見を送った「やらせメール問題」が起きるなど、不祥事が続く。

 電事連は今回も、法令や社会規範の順守の徹底を各社に要請した。その電事連の会長は、自らも金品を受け取っていた関電の岩根茂樹社長だ。

 行動指針は経営トップに、問題が起きた際の迅速で的確な情報公開と説明責任を求め、「自らを含めて厳正な処分を行う」と記す。電力各社が岩根氏の会長続投を認めるなら、関電の判断や行動に理解を示したと受け止められてもやむをえまい。

 電力のような公益事業は、社会との信頼関係がことのほか重要だ。問われているのは関電だけではない。

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