[PR]

 国と地方は上下・主従ではなく、対等・協力の関係にあるという地方分権の原則を、踏み外した判断というほかない。

 ふるさと納税の対象から大阪府泉佐野市を外したことについて、再検討を求めていた第三者機関・国地方係争処理委員会の勧告を無視するような結論を、総務省が出した。

 ふるさと納税は6月、総務省が指定した自治体への寄付のみが対象となるしくみに変わった。法律に基づいて総務省が定めたルールでは、かつての制度で総務省の通知に従わず、高額の返礼品で多額の寄付を集めた自治体は外された。

 係争委は、こうした過去の寄付金集めの状況を理由に「直ちに、かつ、一律に」対象外とすることは、法律が認める範囲を越えている恐れがあるとした。そのうえで、このルールを、泉佐野市を対象外とする理由にすべきではない、とした。

 ところが、総務省はルールを見直すどころか、「大臣には政策的な裁量が認められている」などと反論。係争委の批判に正面から答えることもせず、泉佐野市を対象外とする判断を変えなかった。

 係争委は、国と地方の関係を対等にすることをめざした地方分権一括法の施行により、2000年に設立された。その係争委の勧告に向き合わず、国の方針に従わない自治体は後からつくったルールを一律に当てはめて、排除する。総務省は、自らが推進すべき地方分権の理念を見失ってはいないか。

 確かに、泉佐野市はアマゾンギフト券などで寄付を集めて批判を浴びた。総務省が、不当というべき方法で過去に多くの寄付金を集めた自治体も対象となれば、他の自治体との公平性や納得感を欠き、制度の適正な運営を困難にする、と説明するのもわからないではない。

 泉佐野市は不服として大阪高裁に提訴する方針で、対立はなお続く。その根本にある要因は、ふるさと納税という制度そのものがはらむひずみだ。そこに謙虚に向き合う姿勢が、総務省にはみられない。

 泉佐野市を対象外とした理由に、「国や他の自治体の財政に影響を与える施策をとってはならない」とする地方財政法を挙げた。しかし、自治体への寄付で所得税と住民税の優遇を受けられるしくみ自体が、税収の奪い合いを促すものだ。

 制度設計の甘さを省みず、返礼品競争の責任を泉佐野市に押しつけても、問題は解決しない。高所得の人ほど税の優遇が多いゆがみも残したままだ。

 総務省は、制度全体を再構築する責任がある。いつになったら、取り組むのか。

こんなニュースも