[PR]

 臨時国会の開幕に際し、立法府が行政監視機能を立て直す出発点は、政権が説明責任に真摯(しんし)に向き合うことだと書いた。しかし、きのう衆院で始まった代表質問に対する安倍首相の答弁を聞く限り、議論を深めようという姿勢は欠けていたと言わざるを得ない。

 野党統一会派を代表して質問に立った立憲民主党の枝野幸男代表は、関西電力、あいちトリエンナーレ、NHKの「3点セット」を取り上げた。

 関電役員らの金品受領を一民間企業の問題ととらえるのではなく、組織の隠蔽(いんぺい)体質と原発マネーの還流を「原発政策の根幹にかかわる大問題だ」と位置づけ、政府主導の徹底調査を求めた。これに対し、首相は関電が設置する第三者委員会による結論を待つ姿勢を崩さなかった。

 あいちトリエンナーレへの補助金不交付については、枝野氏が「脅迫者に結果的に加担したと言われても仕方ない」として、当初決めた通りの補助金交付を求めた。首相は、所管省庁が法令や予算の趣旨に則(のっと)って適正に実施するという原則論を述べたうえで、「文化庁でそうした判断をした」と、ひとごとのような答弁に終始した。

 NHKのかんぽ不正報道に関しては、枝野氏が経営委員会による個別番組の編集への干渉や、総務事務次官経験者の日本郵政副社長によるNHKへの圧力を問題視したが、首相は「総務省において適切に対応する」などと一線を画し、自らの見解は示すことはなかった。

 一方で、首相が雄弁に反論したのが、あいちトリエンナーレとNHKの問題に共通するとして、枝野氏が訴えた表現・報道の自由の危機に対してだ。

 「安倍政権に対する連日の報道をご覧いただければおわかりいただける。萎縮している報道機関など存在しない」

 「ありもしない危機をあおるような言動は言論機関、芸術家の皆さんに大変失礼。外国からの誤解も生みかねない」

 開き直ったようなこれらの発言からは、公権力が言論や表現活動を抑圧してはならないという謙虚な自覚はうかがえない。

 きのうの代表質問は、開会が約1時間半遅れた。憲法改正手続きを定めた国民投票法改正案をめぐり、自民党出身の大島理森衆院議長が講演で「臨時国会で合意を見つけてほしい」と呼びかけたことに野党が強く反発したためだ。

 大島氏はきのう、公平中立な議事運営に努める考えを示したが、議長として軽率な発言だったというほかない。国会による行政監視の重要性を説いてきた大島氏である。まずはそのことに意を尽くすべきだ。

こんなニュースも