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 衆院予算委員会で、安倍首相らと与野党の質疑が一巡した。行政監視の主舞台となる予算委での審議は実に約半年ぶり。言論の府を取り戻すには、情報を出し渋り、論戦を避けるこれまでの姿勢を、政権が根本から改める必要がある。

 立憲民主党や国民民主党などによる野党統一会派からは、2日間で計10人が質問に立った。

 先陣を切った国民民主党の玉木雄一郎代表は、日米貿易協定を取り上げ、首相が胸を張るようなウィンウィンの合意内容になっているかを追及した。

 特に重視したのが、米国による日本車への追加関税が本当に回避されたのかどうか。首相は「トランプ大統領との間で確認した。首脳間の約束は極めて重い。ただの口約束ではない」と反論したが、玉木氏が求めた会談記録の公開には応じなかった。首相の言い分をうのみにはできない。

 統一会派が続いて取り上げたのは関西電力の金品受領問題。しかし、関電幹部の参考人招致に与党が応じず、政府側も関電が設置した第三者委員会による調査結果を見守る姿勢に終始したため、実態解明に資するやりとりにはならなかった。

 関電任せの政府の姿勢は無責任だ。確かに関電は民間企業だが、「国策民営」と言われる原発の推進には国が深く関与してきた。関電の信頼失墜は政府がめざす再稼働にも影響を与えている。国会が解明の一端(いったん)を担うのは当然であり、政府はもっと当事者意識を持つべきだ。

 予算委は分野別に分かれる他の委員会と異なり、首相ら全閣僚が出席して、国政全般について意見を戦わせることができるのが特徴である。しかし、首相が自らの見解を示さなければ、議論は深まりようがない。

 表現の自由を脅かす「あいちトリエンナーレ」への補助金不交付もそのひとつ。首相は「文化庁が判断した後、報告があった」と述べるだけで、再考を求められても、「萩生田文部科学相が答弁したことが内閣の考え方だ」と素っ気なかった。

 首相は統一会派の辻元清美氏から国会論戦への「心構え」を問われ、「国民にわかりやすく、謙虚に、丁寧に」と答えた。その言葉通りに、説明責任を尽くしてもらわなければ、国会は形骸化するだけだ。

 野党側にも注文がある。質問内容が重複しないよう、事前に調整できたのは統一会派の効用のひとつだろうが、どこまで鋭く政府に切り込めたかについては、物足りなさが残った。連休明けに始まる参院予算委の審議では、衆院での議論を土台に、国民の負託に応える掘り下げた議論を展開してほしい。

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