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 記録的な大雨による広域災害である。国が先頭に立って、被害実態の把握と人命救助に全力をあげなければならない。

 台風19号の影響により、東日本から東海・中部にかけての広い範囲で、河川の氾濫(はんらん)や土砂崩れなどが相次いだ。死者・行方不明者は40人を超え、浸水で孤立した地域も多い。被害はさらに広がる恐れがある。

 災害対応は初動が肝心だ。政府は自治体と緊密に連携し、先手先手で人員の配置や物資の投入を進めてもらいたい。

 国土交通省によると、13都県で堤防が決壊したり、水が堤防を越えてあふれ出したりした。上流部に降った大量の雨が引き続き流れ込んでいて、地域によっては水が引くのにかなりの時間がかかるとみられている。もちろんどの被災地・被災者にも救援が必要だが、とりわけ医療機関や福祉施設に身を寄せていて被害にあった「災害弱者」への対応は優先度が高い。

 断水や停電が各地でおきており、避難所生活が長引くことも想定される。被災者の体調や精神状態が心配だ。地元自治体はモノの提供にとどまらず、現場のニーズを適切に把握して、県や国に伝えてほしい。

 今回の台風は日本に近づいても勢力が衰えず、気象庁は早くから注意を呼びかけていた。12日から13日にかけては、5段階ある警戒レベルのうち最大値5にあたる大雨特別警報を、順次各地に発令した。それでも甚大な被害が出た。人々に危機感がいつ、どれだけ伝わったのか、検証がいるだろう。

 自治体の対応にも改善の余地がありそうだ。避難所に行ったが満員だと言われて入場を断られた、食料などの準備が一切なかったなどの苦情が一部出ている。また、ホームページで情報を確認するよう誘導しながら、アクセスが集中してつながらなかったとの指摘もある。避難所の受け入れ態勢や職員の配置、情報発信のあり方などを再検討して、今後にいかすべきだ。

 他にも、これまでの想定や手順を見直す必要があることを、今回の台風は教えている。

 たとえば、ダムの水があふれないように緊急放流が各地で行われた。それ自体が異例なことだが、多くは夜間未明の決定となった。地元自治体や流域の住民に余裕をもって情報は伝わっただろうか。不信をぬぐい、被害を生まないために、全国で早急に点検すべき課題だ。

 一方で、鉄道の計画運休や商業施設の休業、イベントの中止などがあらかじめ発表され、混乱の回避につながった。経験を重ね、非常時の対応について認識を共有していくことが、災害に強い社会をつくる。

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