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 自国開催のラグビーW杯で、日本は1次リーグを4戦全勝で突破する快進撃をみせた。過去2回優勝の南アフリカに敗れて準決勝進出はならなかったが、大方の予想を上回り、大会にさして関心のなかった人たちにも響く健闘ぶりだった。

 前評判を覆して勝つ。スポーツの醍醐(だいご)味の一つだが、ラグビーはそうした番狂わせが極めて少ない競技といわれる。

 ボールを一歩でも前に運ぶために15人が総がかりで「格闘」するのがラグビーだ。身長2メートルを超す巨漢から160センチ台の小兵まで、それぞれが明確な役割を持ち、責任を担う。体をぶつけ合うため消耗も激しい。

 勝敗を分けるのは選手層の厚さと戦術の深さ、経験があいまった真の総合力であり、「強い者が勝つ」ゆえんだ。そのハードな競技でアジア勢として初の8強に食い込んだ。会見した選手・スタッフの多くが「誇り」「成長」を口にした。

 この成果は一朝一夕に得られたわけではない。

 話は約20年前にさかのぼる。一時期のラグビー人気が去り、未来像を模索するなかでW杯誘致が構想された。三つに分かれていた地域リーグを再編・統一した「トップリーグ」を03年につくり、南半球の強豪が集う国際リーグにも参加して、少しずつ地歩を固めていった。

 W杯に国籍条項はなく、代表選手31人のうち15人は外国出身だ。半数以上は高校や大学から日本で学び育った。ラグビーを普及・強化しようという熱意が若者を引きつけ、結果として多様化が進む日本社会を映す構成になった。体格面の劣勢を運動量と技術、チームの一体感で補うスタイルを確立させた。

 大切なのはW杯後も火をともし続け、さらにすそ野を広げ、高みをめざすことだ。リーグのプロ化が検討されているが、それに加え、アジア諸国や強豪国との連携など、広い視野で「次」を考える力が求められる。

 今回のW杯の収穫は日本代表の好成績にとどまらない。

 ウェールズ代表が合宿した北九州市では公開練習に1万5千人の市民が集まり、代表歌で歓迎した。試合前の各チームに対しても同様の声援が見られ、母国からの観戦客にも喜ばれた。

 逆に選手たちには、試合後、観客に感謝の思いを伝える日本流の「お辞儀」が広がった。台風の影響で試合が中止になったカナダチームが、会場だった岩手・釜石の人たちと残念な思いを共有しながら、被災地区でボランティア活動をする姿は、多くの人の胸を熱くさせた。

 大会は11月2日まで続く。残り4試合。世界最高レベルのプレーを堪能したい。

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