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 日本と韓国の冷え切った関係をこのまま放置できない――。その危機感を両首相は認めあったという。それが本気ならば、行動で示すべきだ。

 安倍氏と李洛淵(イナギョン)氏がきのう、東京で会談した。「即位礼正殿の儀」にあわせて来日した李氏は、文在寅(ムンジェイン)大統領を支える政権ナンバー2である。

 首脳級の会談自体が久しぶりのことだ。貿易、観光、市民交流など広範に悪影響がでている今に至るまで、事態をこじらせた両政権の責任は重い。

 今回の会談でも、両首相の抽象的なことば以外の成果は伝えられていない。互いに相手の譲歩を待つだけなら、放置と同じことだと悟るべきだろう。

 李氏は来日前、朝日新聞との会見で「対話を通じ、できるだけ早く7月以前の状態に戻れるよう望んでいる」と語った。

 日本が事実上の報復として7月に実施した輸出規制強化を問題の起点として捉え、それ以前に戻そうとの提案だろう。

 だが、問題の核心は元徴用工らへの補償である。そこから目を背けたままでは本質的な関係改善は望めない。

 李氏は会談で、1965年の日韓基本条約や請求権協定をこれまで尊重し守ってきており、今後もそうすると明言した。

 当時も歴史的な課題が積み残されたが、両国は五十余年間、知恵を出しあい補ってきた。徴用工問題はとりわけ難問ではあるが、互いの努力で克服しなければ前進できない。

 その意味で日本政府による輸出規制強化は、逆効果だった。強硬手段で韓国政府を動かそうという試みだったが、歴史に由来する懸案に経済問題を絡めたことで文政権と韓国世論を硬化させた。

 韓国人客の激減により日本各地の観光地は打撃を受けているほか、自動車など日本製品の韓国での売れ行きも急落した。韓国側の産業界も、貿易規制をめぐる不安を抱き続けている。

 一方、韓国政府が日本との軍事情報の保護協定を破棄する決定をしたことも、軽率だった。協定の失効までに1カ月を切った今、韓国側には協定の延長を望む声もあるようだが、そもそも安全保障の問題を持ち込むべきではなかった。

 来月初めには、タイで日韓両首脳の出席が予定される国際会議がある。互いを傷つけあう不毛な諍(いさか)いに終止符を打つため、政治の強い意志を示すときだ。日韓首脳が1年以上も会談していないのは異常である。

 安倍氏と文氏は早急に直接向きあい、両国民の利益を探る理性を見せてもらいたい。厳しい時間が長引くほど、関係のもつれをほぐすのは難しくなる。

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