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 欧州や世界の国々と、どんな関係を築きたいのか。

 欧州連合(EU)からの離脱問題に揺れる英国で、12月に総選挙が行われる方向になった。英国と欧州の将来の姿を左右する選挙になるかもしれない。

 きょう31日は、ジョンソン首相が「何が何でも離脱する」と宣言した期日だった。無秩序な離脱を回避し、民意を問う機会が生まれたのは、EUが3度目の離脱延期を認めたからだ。

 新たな期日である来年1月末まで3カ月ある。英国は今度こそ、貴重な時間を有効に使わなければならない。

 言うまでもなく最も重要な争点は「EU離脱」だ。ただし、有権者が思い描く選択肢は、離脱か残留かの単純なものではないことを認識しておきたい。

 「強硬離脱」から「今の協定案よりソフトな離脱」「再度の国民投票」「残留」など多様な色合いで複雑化している。

 与党保守党や最大野党の労働党など各党と候補者は、公約集や討論会などで考え方を明確に示す必要がある。それぞれの選択がどこへ導くのか、利点や問題点は何か、国民に誠実に示してもらいたい。

 3年前の国民投票の際は、誤った情報が流布された。「EUから出れば、毎週約500億円を医療に回せる」と、事実でない宣伝もあった。最近も、無秩序離脱がもたらす市民生活への影響を予想した政府の機密文書の存在が明るみに出た。

 政府も政党も、情報をゆがめることなく開示する。それが民意を問うための必須の前提であることを忘れてはならない。

 ジョンソン氏は、僅差(きんさ)だった3年前の投票を理由に、「離脱を望む国民」と「阻む議会」との闘いだと訴え、議会での熟議を拒む姿勢を続けてきた。

 選挙運動でそんな対立の構図を持ち出すべきではない。すでに世論が二分された社会で、さらに分断が進む恐れがある。

 今後の行方次第では、連合王国としての英国の一体性が崩れる危険性もある。先の国民投票では、スコットランドと北アイルランドで残留支持、イングランドとウェールズで離脱支持が多数を占めた。実際、スコットランドの地域政党はEU残留と英国からの独立を掲げている。

 今の協定案での英領北アイルランドの扱いも心配だ。プロテスタント系とカトリック系住民の対立で3千人を超す犠牲者を出した暗い過去がある。

 北アイルランドだけが実質的にEUの関税同盟に残れば、1998年の包括和平合意が揺らぎかねないとも指摘される。

 いくつもの重い懸案を論じるべき選挙である。英国民も冷静に判断し、票を投じてほしい。

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