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 来年の東京五輪のマラソンと競歩のコースを、札幌に移すことが正式に決まった。

 変更はやむを得ないだろう。

 9月のマラソンのテスト大会はおおむね順調に終わったが、競歩を含め、7~8月に行われた他競技の大会では、酷暑で体調を崩したり、緊急搬送されたりする選手が相次いだ。多くの棄権者が出た中東カタールでの陸上の世界選手権とあわせ、選手や観客の健康をどう守るかという課題が、大会関係者に改めて突きつけられていた。

 むろん札幌移転ですべての問題が解決したわけではない。大会の成功に向けて、暑さ対策のほかにも、ハード・ソフト両面で引き続き細かな点検と改善が欠かせない。

 そう考えたとき心配なのは、今回の会場問題をめぐってあらわになった、大会を運営する側の足並みの乱れだ。国際オリンピック委員会(IOC)、大会組織委員会、都、政府の4者の協議で札幌案に落ち着いたが、小池百合子知事は「合意なき決定だ」と述べた。会見も別々に行われ、一体感のなさを印象づける形となった。

 3年前にも、ボートなどの会場整備や経費の分担をめぐって混乱があった。同じく4者の話し合いで収拾したが、その後、互いの信頼関係を醸成するには至っていなかったのか。

 知事が不快に思うのも理解できなくはない。コース変更を打ち出したIOCの行動はいかにも唐突かつ居丈高だったし、4者の中で都だけが蚊帳の外に置かれた感は否めない。

 しかし、主催都市の代表として世界から選手・観客を迎える立場だ。開幕まで300日を切ったいま、モヤモヤを引きずっている余裕はない。

 五輪の持続可能性に対するIOCの危機感の欠如にも、首をひねる場面があった。

 地球温暖化が進むなか、今後の展望についてコーツ調整委員長は「開催都市と違う都市でも競技は可能だ」と、4者協議で述べた。会場を分散することで対応していけるという考えならば楽観が過ぎる。

 今回のような混乱を引き起こさないためにどうすべきか。経緯を検証し、大会の開催時期や開催都市の選定のあり方について、見直すべき点は確実に見直していかねばならない。大会経費をどう抑え、捻出するかという以前からの難題もある。

 今後は札幌の準備に多くの目が注がれることになる。国際的な大会を開催してきた実績があるとはいえ、コースの決定、警備、輸送、ボランティアの確保など課題は山積している。組織委をはじめ、運営側が一致協力して乗り越えてもらいたい。

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