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 台風19号で堤防が決壊した71河川のうち半数の36河川で、洪水で水につかるおそれがある地域を示す「浸水想定区域図」が作られていなかった。いずれも県が管理する中小規模の河川で、浸水想定の対象になっていなかった。住民が的確に避難できなくなる可能性もあり、専門家は作成対象を広げるよう求めているが、人手や費用などで課題も残っている。▼26面=願い届かず

 水害への備えを定めた水防法では、河川を管理する国や都道府県に対して、流域面積が広く水位が上がれば氾濫(はんらん)などで大きな被害が出るおそれがある河川を指定し、浸水想定区域図を作るよう義務づけている。

 流域に市街地や重要施設がある大規模な河川が優先されることが多く、市町村はこれをもとに避難所や避難ルートの情報を加え、住民向けの「ハザードマップ」を作っている。

 朝日新聞が、国土交通省と台風19号で決壊が起きた七つの県へ取材したところ、計71河川のうち約50・7%にあたる5県の36河川で、浸水想定区域図が作られていなかった。宮城と福島がそれぞれ13河川と最も多く、次いで栃木が7河川、長野が2河川、埼玉が1河川だった。町役場周辺が大規模に浸水した宮城県丸森町では、決壊した3河川すべてで浸水想定区域図がなかった。

 宮城県の担当者は「大規模な河川の浸水想定作業を優先した」。浸水想定には1河川で半年以上の時間と、1千万円以上の費用が必要になることが多いといい、「中小河川にも広げたいが、人手と財源との兼ね合いもあり悩ましい」と話す。

 東京大大学院の片田敏孝特任教授(災害情報学)は「浸水想定区域図は水害への危険度を認識し、避難につなげるために有効だ」と指摘。「中小河川の浸水想定は不確実性が高いが、住民の命を守るためには都道府県が浸水想定の対象を中小河川にまで広げるべきだ」と話す。

 国は15年に水防法を改正し区域指定の際の雨量想定を「数十年に1度」から「千年に1度」の規模に拡大するよう義務づけた。20年度末までの見直しが求められている。今年3月末時点では、国管理の448河川はすべて「千年に1度」の想定最大雨量に基づく浸水想定区域図が作られたが、都道府県管理の1627河川では883河川(54・3%)にとどまっている。(渡辺洋介、贄川俊)

 ■浸水想定区域図がなかった36河川

 <宮城県> 熊谷川、五福谷川、高倉川、小西川、照越川、新川、身洗川、水沼川、石貝川、内川、半田川、富士川、名蓋川

 <福島県> 佐久間川、三滝川、上真野川、水無川、川房川、太田川、滝川、濁川、谷田川、藤川、藤田川、藤野川、鈴川

 <栃木県> 荒井川、三杉川、出流川、新川、中川、内川、百村川

 <埼玉県> 新江川

 <長野県> 三念沢、皿川

 <訂正して、おわびします>

 ▼3日付1面「決壊河川半数 浸水想定なし」の記事につく一覧表「浸水想定区域図がなかった36河川」で、長野県の河川に「滑津川」とあるのは「三念沢」の誤りでした。一覧表を作成する際に資料を読み誤りました。

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