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 相次ぐ台風による風雨で、東北から東海にかけて多くの家屋が被災した。いまも1都9県に約100の避難所が置かれ、2800人が暮らしている。

 その人たちの心身の状態も気がかりだが、避難所に入らず、自宅で不便な生活を送る被災者の存在も忘れてはならない。

 支援がゆき渡らずに体調を崩し、最悪の場合は関連死に至った前例もある。市町村は実態の把握にまず努めてもらいたい。

 記録的な強風が吹いた9月の台風15号では、屋根瓦が飛ばされるなど、千葉県を中心に損壊家屋が5万棟を超えた。多くの河川が氾濫(はんらん)した先月中旬の19号と下旬の豪雨では、約7万棟が床上・床下浸水した。

 ブルーシートで覆っただけの屋根の下や、水が引いたあとの家で毎日を過ごす苦労は、想像に難くない。雨漏りの不安は尽きず、泥水が流れ込んだ場所ではカビが繁殖しやすい。

 それでも避難所に行かない、あるいは行けない理由はさまざまだ。寝たきりの家族がいる。ペットを飼っている。持病がある。落ち着けない。防犯上、家を空けるのは不安だ――。

 東日本大震災を受けて13年に災害対策基本法が改正され、避難所以外にいる被災者の支援も行政の努めである旨が明記された。内閣府の避難所運営ガイドラインは、在宅避難者を「避難所に居場所を確保できず、やむを得ず被災した自宅に戻って避難生活を送っている者」などと定義し、「避難者は避難所の外にも存在する」という認識をもつよう自治体に促している。

 市町村は、管内のどこに、どんな被災者がいるかを確認し、連絡がとれる体制を整え、生活再建に役立つ情報を伝える必要がある。「避難所にいれば知ることができたのに、自宅にいたので分からなかった」といった不満や、疎外感を引き起こさないことが大切だ。そのうえで、状況に応じて生活物資や食料を届けたり、保健師が巡回して健康状態をチェックしたりすることにも取り組んでほしい。

 在宅避難者をどうやって支えるかは、3年前の熊本地震や、昨年の西日本豪雨の際にも大きな課題になった。人やものが集まる避難所を支援拠点として活用するなど、当時の経験と教訓をいかすときだ。

 自治体には復旧にむけた業務が山積しており、実態を把握するにも人手がかかる。チラシの配布など、現地に入るボランティアの力を借りるのも一案だろう。ただ、被災地が広範囲に及び、地域によってはそのボランティアの確保が難しいのも、今回の災害の特徴だ。目配りのきいた、息の長い支援がこれまでにも増して求められる。

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