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 市町村の数をほぼ半減させた「平成の大合併」が一段落してから、来年で10年になる。

 大合併は政府が主導した。

 アメ(合併すれば得られる有利な特例債)とムチ(将来の財政不安の指摘)で、自治体に行財政の効率化を迫った。

 だから政府には合併の功罪を検証する責任があるはずだ。こう考える契機が二つあった。

 ひとつは、首相の諮問機関の地方制度調査会が先月、合併特例法の延長を求めたことだ。

 地制調はいま、高齢者が最多になる2040年ころを見据えた自治体像を検討している。働き手が減り、従来の市町村単位では対応が難しくなる。そんな見立てで、合併を選択肢に残した。ならば、合併の有効性を客観的に示す必要がある。

 二つめは、日本弁護士連合会が今月に公表した報告だ。

 隣りあう4千人未満の同規模の自治体を調べたところ、合併した旧町村の方が、合併しなかった町村より、人口が減り、高齢化も進んでいた。

 岡山県西粟倉村と旧東粟倉村(美作市)など、全国の47組のうち約9割で同じ傾向だった。

 調査は、合併後の衰退に共通する理由として「役場機能の縮小」を挙げた。地元商店も業者も「最大の顧客」を失ったことが響いたという。

 一般に合併は行財政の基盤強化や住民サービスの充実が評価される。半面、日弁連が示した人口減や伝統文化の喪失など、周辺部の疲弊も指摘される。

 実態はどうなのか。福祉や教育、産業や観光振興、議会、財政指数など幅広く、政府自身の手で検証すべきだ。

 その結果に基づいて自治体の将来像を探れば、地方制度づくりに説得力が増す。

 実は地制調でも、複数の委員が合併の検証を求めた。だが、政府の対応は各県の合併報告書を引用した程度だった。

 地制調では今後、複数の自治体が連携する「圏域」の論議を本格化させる。来夏の最終答申は「圏域」が主役になる。

 これに対し、すでに小規模自治体に懸念が広がっている。大合併と同様に、将来不安をあおり、効率優先の制度で周辺部が切り捨てられないか、と。

 そもそも、自治体の将来像は政府の姿とともに構想すべきだ。その際には地方分権が欠かせない。この視点に乏しい地制調への不信感も各地にある。

 政府は2年前、「移住・定住政策の好事例集」で18自治体を紹介した。うち12カ所が合併していない。この事実が、行政の努力、住民の知恵や工夫の重要性を如実に物語る。

 地制調には、こんな自治の現場に即した論議を期待する。