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 経済対策として国が対応することがいま、どこまで求められるのか。どんな政策なら効果が上がるのか。基本的な議論を突き詰める必要がある。

 安倍政権が、台風などの災害対策と「中小企業や農林水産業の支援」「未来への投資と東京五輪後の対策」の三つを柱に、経済対策をつくる。今年度の補正予算と来年度の当初予算を組み合わせ、「機動的かつ万全の対策」にするという。

 政府は「景気は緩やかに回復している」との認識で、株価は高値圏で推移する。しかし米中の貿易戦争など不安な要因は多く、消費や生産の今後の動きを見通すのも簡単ではない。

 景気の変動に柔軟に対応できるよう備えることは理解できるし、災害の被災地の復旧は急ぐべきだ。かといって、大規模な対策が求められる局面とは考えにくい。政権の前のめりの姿勢には、懸念が残る。

 対策の候補には、「海外展開企業の事業円滑化」「農林水産業の成長産業化」「ソサエティー5・0やSDGsの実現に向けたイノベーションの促進」「インバウンドの喚起」などが挙がる。成長戦略などで政権が旗印に掲げた項目が目立つ。中身を精査する前に、やりたい政策をあれこれ詰め込むことに終わらないか。

 第2次安倍政権は7年間、成長戦略や経済対策を次々に繰り出してきた。補正予算は計10回、災害対策も含めて計30兆円にのぼり、農林水産物の輸出促進や中小企業の補助金、インバウンドもイノベーションもすでに定番化している。

 首相は3年前の経済対策で「内需を力強く下支えし、デフレからの脱出速度を最大限まで引き上げる」と宣言した。今年10月の消費税率引き上げでは、キャッシュレス決済でのポイント還元策などの「十二分の対策で、消費をしっかりと下支えする」と約束した。

 これまでの対策の効果を、政府はどう分析したのか。過去を検証してこそ、対策の実効性を高めることにつながるはずだ。

 災害対策では、被災した人の生活再建など緊急度を精査し、優先順位をつけてほしい。ハード面の整備の限界も意識し、不要不急の事業がもぐりこまぬよう注意することも不可欠だ。

 与党幹部からは「日本には財政出動の余力がある。大胆な判断もあり得る」との声があがる。しかし、財政健全化の目標達成を先送りしている現実を、忘れてはならない。

 財政の余裕が失われれば、将来の政策の選択肢は狭まる。経済対策が欠かせないのなら、首相が率先して、緊急性の低い予算を絞り込むべきだ。

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