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 中途半端な手当てですませようとせず、いったん白紙に戻して検討し直すべきではないか。

 来年度始まる「大学入学共通テスト」の国語と数学に導入予定の記述式問題のことだ。

 英語民間試験の活用見送りを機に、もうひとつの懸念として注目が集まった。高校生らの反対署名には短期間で4万2千人が賛同した。国会でも議論になり、野党は実施を取りやめるための法案を提出した。

 とりわけ国語に関しては以前から数々の問題が指摘されており、朝日新聞の社説も「このまま本番を迎えてよいとは思えない」と疑問を呈してきた。

 一番の心配は、受験生の自己採点と実際の採点とが大きくずれることだ。昨年の2度目の試行調査でも「不一致率」が3割に達した。自己採点が甘いと2次試験の出願先に門前払いされかねず、逆に厳しすぎると、自分の力を誤解したまま志望先を断念することも想定される。

 ここにきて文部科学省も事態の深刻さを認識したのか、2次試験に進む受験生を絞り込む「2段階選抜」の判定材料に国語の記述式の成績を使わないよう、国公立大学に求めることを検討しているという。新方式の欠陥を認めたに等しい。

 それでも記述式を実施する方針自体は変えないようだ。とりあえず最小限の措置はするが、中止だけは避けたい。そんな思惑がにじむ。

 だが他にも課題は山積している。まず採点の精度だ。業務は民間業者が請け負う。50万人の答案を見るには1万人が必要とされ、アルバイトも動員する。これに対し高校や大学の関係者は「教員でも採点は難しい。バイトでは無理だ」と批判する。

 ブレを防ごうとすれば、あらかじめ決めてある要素が答案に盛り込まれているかをチェックするという、機械的な採点方式にするしかない。だがそれでは本当の思考力や表現力を測る出題は難しく、何のための記述式かという疑念がわく。

 情報漏れを危ぶむ声もある。準備のため、業者に事前に設問や正答例を示すことになっているが、それで試験の公正公平が保てるかとの懸念だ。

 受験生や高校・大学の関係者の納得を得られる状況とは言い難い。このまま強行したらどうなるか。英語民間試験をめぐる曲折から、重い教訓を突きつけられたばかりではないか。

 東北大の研究者らの調査によると、国立大の2次試験は既に設問の9割近くが記述式にあたる内容だという。共通テストと大学の個別入試でどう役割を分担し、入学後の教育につなげるか。その基本から議論し直し、制度を設計する必要がある。

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