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 日本郵政グループが14日発表した2019年9月中間決算で、かんぽ生命保険の新契約件数は前年同期より34・4%減の58万件となり、15年の上場以来最低となった。数多く見つかった不正販売問題の対応が長びくほど、業績への影響も大きくなる見通しだ。

 不正が6月下旬に表面化し、7月中旬から積極的な営業が控えられたため、7~9月の新契約は前年比6割少ない16万件に。4~9月の保険料等収入も同11・7%減だった。

 不利益を与えた顧客向けの保険金支払いなどの費用に10・8億円を引き当て、不正の調査などに35億円を計上した。ただ、日本郵便に払う販売手数料が100億円以上減った影響などで、純利益は前年同期比11・0%増の763億円。20年3月期の純利益の見通しは1340億円と、従来の減益予想から大幅な上方修正となった。

 営業自粛は経費の大幅減を通じて短期的な利益増につながるが、長期化するほど保険料等収入が減って悪影響が広がる。かんぽの親会社の日本郵政の市倉昇専務は「短期の数字はよくても、長期の数字には危機感を持っている」と語った。

 日本郵政の売上高は前年同期比4・8%減の5兆9693億円、純利益は同5・8%増の2365億円。投資信託で2万件近い不適切販売が判明したゆうちょ銀行は、超低金利による運用難に加え、投信販売額が減少に転じ、純利益は前年同期比9・0%減となった。

 日本郵便はかんぽからの委託手数料が減ったが、かんぽの営業自粛などに伴って販売手当など人件費が大きく減少。郵便ポストから送れる小型の宅配便「ゆうパケット」なども好調で、純利益は前年同期の約2倍の384億円に膨らんだ。

 ■郵政G、見えぬ収益改善策

 郵政グループは売上高の縮小が止まらず、07年の民営化直後の年約20兆円と比べて今期は6割ほどにとどまる。逆風に立ち向かう収益改善策を見いだせず、厳しい経営が今後も続く。

 最大の懸案は、かんぽの不正販売で失墜した信頼をどうやって取り戻すかだ。

 郵政グループは不正の調査を終えて結果報告を年内に示し、かんぽの営業再開にこぎつけたい考えだ。だが、調査で連絡のつかない高齢客も多い。保有契約が多いだけに、どこまで全容解明が進むかは不透明。迷走の続く経営陣刷新も避けられず、課題が山積する。

 調査や顧客対応に伴う費用はグループ全体で100億円超と見込まれるが、調査の結果次第でさらに膨らむ可能性もある。

 年明けから営業再開した場合も、徹底したコンプライアンスが求められ、販売実績を以前のようにつくるのは難しい。再開すれば人件費が膨らむ一方で、新契約を回復できないと保険料等収入の減少とあいまって業績への悪影響が大きくなる恐れがある。

 日本銀行の超低金利政策が長期化し、ゆうちょ銀の資金運用も厳しい。投信販売は数少ない成長分野だったが、不適切な販売が大量に見つかり、急拡大路線にも「黄信号」がともる。

 かんぽとゆうちょは、日本郵政の議決権比率が50%未満になると、新規業務への規制が緩和される。日本郵政は両社の株式を早く売り、新たな資金を得るとともに、2社への政府関与を薄めて経営の自由度を高める戦略だった。しかし、不祥事で株価は低迷し、売り出しの時期も見通せない。

 日本郵便は宅配が好調な一方で、郵便物の減少で郵便事業は近い将来に赤字転落を見込む。年600億円の収益改善を見込んだ土曜休配を認める法改正も、かんぽ問題の影響で見送られた。金融2社が郵便事業と郵便局網を支える収益構造も限界が徐々に近づいている。(新宅あゆみ、藤田知也)

 <訂正して、おわびします>

 ▼15日付経済面「かんぽ新契約34%減」の記事で、「不利益を与えた顧客向けの保険金返金などの費用」とあるのは「不利益を与えた顧客向けの保険金支払いなどの費用」の誤りでした。保険金はかんぽ生命が返すのではなく支払うもので、言葉遣いを誤りました。

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