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 日本と韓国の両政府とも、国民の安全の確保に役立つと考えている。その大切な防衛協力をなぜ、捨て去るのか。韓国の文在寅(ムンジェイン)政権は、破棄の決定を撤回すべきである。

 軍事情報をめぐる包括保護協定(GSOMIA〈ジーソミア〉)のことだ。3年前に結ばれて以来、北朝鮮のミサイル発射など、さまざまな情報の交換に役だった。

 しかし文政権が決定を覆さない限り、23日午前0時に失効する。そうなれば日韓関係のみならず、米国・韓国・日本の3国間の連携にも打撃となる。

 ソウルできのう開かれた米韓安保協議では、エスパー米国防長官が翻意を促した。記者会見で、協定の破棄や日韓関係の悪化で「利益を得るのは中国や北朝鮮だけだ」と述べた。

 米国にとって、この協定は世界に広がる米軍展開のネットワークの一部を担う取り決めだ。中国との覇権争いという大きな戦略のなかでも悪影響になることを懸念しているようだ。

 だが、韓国大統領府の幹部は日本の態度に変化がなければ、変更は困難との認識を示した。徴用工問題への日本側の事実上の報復措置である、輸出規制強化の撤回を求めている。

 協定の破棄決定は、輸出規制への対抗策として出されたが、この間、北朝鮮はミサイル発射を活発化させた。韓国国内でも協定を維持するほうが賢明だと専門家らが指摘している。

 協定維持が国益にかなうことは、文政権もわかっているはずだ。残る1週間内に、賢明な判断を下してもらいたい。そのためには日本政府も、かたくなな態度を緩める必要がある。

 見解の隔たりが大きい問題の即時解決は難しい。だがたとえば、互いの関心事を取り上げられる高官の対話枠組みを設けるなどして、歩み寄りのジェスチャーを発することで、ひとまず協定の継続を図れないか。

 いま双方に求められるのは、自己主張への頑迷な固執ではなく、安保・経済両面での不毛な傷つけ合いを止めるための良識ある外交である。

 米長官はきのう、在韓米軍駐留経費の増額にも言及した。韓国側は今年負担を増やしたが、米国は来年分として現行額の5倍を要求したとされる。

 連携の重要性を唱えながら、費用負担などでは「米国第一」の要求を突きつける。そんなトランプ政権の同盟軽視こそが、米国主導の国際秩序を脅かす要因になっている。

 駐留経費をめぐっては、日本も来年以降に対米協議に臨む。不当な米国の態度は本来、日韓が肩を並べて対処していい問題だ。日米韓のいずれもが、冷静さを取り戻さねばならない。

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