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 故障の予防をはじめ、球児の健康を守るにはどんな取り組みが必要で、有効か。提言を出発点に考え、実行していきたい。

 日本高校野球連盟が設けた「投手の障害予防に関する有識者会議」が今月、答申の骨子をまとめた。日本高野連と各都道府県高野連の主催大会で、投手1人あたりの1週間の総投球数を500球以内とし、試合日程では3連戦を避けるよう提言した。来春の選抜大会から3年間を試行期間と位置づけた。

 日本高野連は近く理事会で議論するが、答申を尊重する方針だ。これまでも大会期間中に休養日を設け、延長十二回終了時に同点の場合は得点しやすい状況からプレーするタイブレーク制を導入してきたが、投球数の制限は大きな転換点と言える。

 有力な投手を複数そろえられるチームが有利になるだけに、賛否はさまざまだろう。有識者会議の委員を務めた公立高校の元監督は、部員の確保にも苦労する多くの学校を代弁し、複雑な心境を隠さなかった。

 しかし、故障の予防策は待ったなしだ。1試合100球という独自の制限を導入しようとして議論の火付け役となり、会議にも参加した新潟県高野連の会長は「(制限を)明確化したことに意義がある」と評価した。

 ここで立ち止まらず、テーマを広げ、議論を続けることが大切だ。投手の負担や安全を考えるなら、金属製バットのあり方は避けて通れない。日本高野連は9月、打球の速度を抑えるためにバットの反発力を低くする性能見直しに着手すると発表した。精力的に検討してほしい。

 有識者会議は、公式戦以外の試合や日々の練習、投手以外の選手も視野に、様々な課題や具体策を列挙した。

 高野連の加盟校に対し、週1日以上の完全休養日を設けることや、選手が体の痛みや不安を指導者に伝えられる環境づくりを呼びかけた。小・中学校を含む野球界には、スポーツ障害の早期発見のための検診システム作りや指導者へのライセンス制の導入、関係団体による地域連絡協議会の結成を提案した。

 小中学の軟式野球などを統括する全日本軟式野球連盟は、4年間の検討を経て来年度から小学生の公式戦で1日70球以内という投球制限を始める。既に導入した地域では、野手も投手をすることでそれぞれの役割への理解が深まる一方、攻撃では投手を早く交代させようと待球作戦が見られたという。そうした事例を世代を超えて共有し、改善に努めていきたい。

 野球を含むスポーツの前提は心身の健康だ。スポーツで健康を損なっては元も子もない。指導者は肝に銘じてほしい。

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