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 かんぽ生命保険の新契約件数が大きく落ち込んでいる。不正販売を受けて営業を自粛しているためだが、問題の全容解明と経営刷新が急務であることを、改めて肝に銘じるべきだ。

 先日発表されたかんぽ生命の中間決算によると、営業自粛を始めた7~9月の新契約は、前年と比べ6割も減った。日本郵便に委託している販売の経費も減ったので短期の業績は問題ないが、将来の保険料収入の低下につながる。

 そもそも、かんぽ生命は保険料収入が減少傾向にあり、昨年度に策定した中期経営計画では18年度を底に「反転・成長」させると掲げた。そのためにも、低金利下で魅力の減った貯蓄型の保険から、保障を重視した商品に重心を移すことを急いでいた。今回の不正販売はそのさなかに起きた。顧客に不利益を与えて信頼を失ったままでは、中長期的な経営戦略の上でも大きなつまずきになる。

 日本郵政グループでは、ゆうちょ銀行も低金利化で運用難に直面し、成長分野の投資信託で不適切な販売がみつかった。稼ぎの大半を担うかんぽとゆうちょのもたつきが続けば、収益の足を引っ張るだけでなく、今後の民営化の展望にも不透明感が増すばかりだ。

 日本郵政と、社外弁護士らによる特別調査委員会はそれぞれ年内に、保険の不正販売についての調査報告をまとめる。それを受けて企業統治の立て直しに道筋をつけられるのか。日本郵政は正念場を迎えるが、幹部の最近の言動を見ても、どこまで危機感があるのか、疑わしい。

 日本郵政は昨夏、NHKが保険の不正販売の情報提供を呼び掛ける動画をネットに載せたことに抗議し、取材に応じることを拒否した。動画の内容や表現が一方的だったという理由だ。

 今年7月に日本郵政は保険販売の事態の深刻さを認めて謝罪したが、10月になって、日本郵政の鈴木康雄上級副社長は、NHKが昨年、取材を受けたら動画を消すと言っていたとして「暴力団と一緒」と述べた。

 NHK側は動画を改めて掲載し、指摘されたような取材はしていないと反論したが、鈴木氏は自説を繰り返している。日本郵政の長門正貢社長は9月末の会見で、NHKにおかしいという前になぜ社内調査をしなかったのかと問われ「深く反省します」と答えたが、今月国会に呼ばれた際は、鈴木氏と「意見は全く一致」と修正した。

 これだけ不正への対応が後手に回ったにもかかわらず、外部からの指摘に耳をふさぐ姿勢を改められないのだろうか。こうした体質を残していては、信頼回復は不可能だ。

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